慢性疲労症候群(CFS)入門

慢性疲労症候群 & 線維筋痛症とうまくつきあう方法

出典:Managing Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia: 2010 edition
on CFIDS & FIBROMYALGIA Self-Help

第10章 ペーシングのライフスタイル

ペーシングはしばしば、活動ごとに制限を設けたり、予定した休息を取ったりする(休息を予定して、計画的に休息する)ことから始めます。しかし、時間をかけて徐々に、症状に応じて生活するライフスタイルではなく、プランに従って生活するライフスタイルになります。目標は、毎日同じ量の活動をし、同じ量の休息を取り、活動も休息も徐々に一定にしていくことです。この手法を実行するためには、前もって1日に何をするのか、1週間に何をするのかを計画しておかなければなりません。自分の計画に従って生活する範囲において、あなたはもっと予測できる生活を送り、いっそう疾患のコントロール感を得るでしょう。もしかしたら、あなたのエネルギーエンベロープ(疾患が一人ひとりに課したエネルギーの制限)を拡張できるかもしれません。

1日の計画

手始めに、1日の計画を立てます。朝あるいは前夜に、その日に達成可能な活動をリストにしてください。それから、症状を悪化させずにリスト上のすべてのことをできるか考えてみて、自分のリストを評価してください。できそうもなければ、延期したり、人に任せたり、取り除いたりできる項目を特定します。我々のプログラムの一人の女性は、次のように計画を立てると説明しました。「毎晩、私は翌日のために、いつもの活動とそのほかのできそうな活動をリストにします。そうすることで、実際にはしなくてもよい、延期できる活動を認識できます。毎日この方法で、目標の休息時間を確保します」

彼女が言うように、休息時間はペーシングに不可欠な構成要素です。毎日、休息時間を規則的にスケジュールに組み入れるべきです。一定の時間の休息を取るために、1日のある特定の時間帯を取っておき、一貫した休息を取るならば順調に生活を送れるでしょう。これは、症状に応じて休息するのではなく、プランに従って休息するという考え方です。

1日の計画を立て、計画どおりに生活するとき、あなたは症状をさらに抑えられるのではないかと考え、さらに多くのことをしたくなるかもしれません。この衝動は、あなたが断ち切ろうとしているプッシュ・アンド・クラッシュの繰り返しの一部です。体調が良いときに激しくプッシュして、症状が悪化するとクラッシュするのではなく、目標は一貫した活動レベルを保つことだと覚えていてください。

ルーチン(いつもの手順)を身につけるのは、ペーシングのライフスタイルにさらに一貫性を持たせる方法の一つです。規則的に、いつものやり方で物事を行えば、エネルギーの消費量が減ります。なぜなら、人は絶えず新しい状況に直面しているのではなく、習慣に従って生活しているからです。ルーチンは新しい状況に直面することほどストレスが多くなく、制限内で生活する可能性を高めるので、予測できる生活を送ればぶり返しを減らすことができます。

これができるかどうかは、自分の制限の詳細な理解を深めて、その制限を重んじる活動・休息のスケジュールを立てることができるかどうかにかかっています。我々のコースを取った一人が次のように言いました。「ルーチンを身につけて根気よくやることは役に立っています。慣れは思いがけないことの回数を減らし、予期せぬ出来事に対する注意を減らします。いつも、歯を磨いたあとに顔を洗うようにすれば、私は歯を磨き終えたとき、次に何をするか考える必要がありません」。このトピックの詳細については記事 “Habit Change & Rules: Two Keys to Improvement”(「習慣の変化と私の規則:改善への二つのカギ」)を見てください。

制限を超えるときに必ずしも体がシグナルを送るとは限らないことは、制限内にとどまろうとするあなたの能力を混乱させます。エンベロープ(疾患が一人ひとりに課した制限)を超えてなおかつ調子が良いことがあるかもしれませんが、あとになって症状が悪化します。過度の努力の影響はよく遅れて現れるので、いつやめたらいいのか、自分の体がシグナルを送るのを当てにできません。解決策は、試行を繰り返して自分の制限を見付け、次に、試行を経て安全であると分かった時間の長さに活動を制限することです。

「1日の予定」ワークシート

「1日の予定(Daily Schedule)」ワークシートを使えば、あなたの活動の能力・制限に関する理解を、活動と休息から成る毎日のルーチンに変換できます。スケジュールに従えば、症状をコントロールし、生活をある程度安定させることができます。(自分の制限を知るために、自身を第2章の「CFS/FM評価尺度」で評価して、第30章の「活動ログ(Activity Log)」を使うか、あるいは第8章の「エネルギーエンベロープ(Energy Enverope)」用紙に記入してください。どちらの方法でも、あなたの体が現在どれくらいの活動を許容できるか感じがつかめるでしょう)。

以下は、一人の女性が「1日の予定」ワークシートをどのように利用したかを記述したものです。 Janeは既婚の50代の女性です。約10年前にFMにかかり、彼女が我々のプログラムを始めたときは、自身を「評定尺度」で30と35の間(我々の入門コースの人々の平均)と評定しました。彼女は夫と暮らしています。2人の成人した娘が彼女と同じ都市に住んでいます。彼女の自己評価では、1日に約3時間活動でき、1週間のほとんど外出できるだろうと彼女は考えました。彼女はスケジュールを詳細に立てたかったのですが、ごくわずかのルーチンから始めることにしました。彼女の最初の優先順位は、ぐっすり睡ること、正しい食事をとること、そして運動することでした。

ぐっすり眠ることが彼女の最優先事項だったので、彼女は就寝前のルーチンをすべて記入することから始めました(囲みを見てください)。ルーチンは、彼女が就寝する前にリラックスするのを助けること、またTo Doリストなど、彼女が翌日の計画を立てるのを助けることを目指しています。リストがあれば彼女の熟考する傾向が減ります。朝はいつも、頭にかかったもやがひどいので、彼女は前夜に衣服を用意しておきます。


就寝前のルーチン

くつろぐ。9時以降は、テレビを消す、パソコン・電話を使わない
入浴する
あしたのTo Doリストを作る
あしたの衣服を用意する
夜の薬をのむ
10時までに就寝する


朝と午後のルーチンは健康に良い食事を食べること、ストレッチをすること、そして先制休息を取ることに集中すると彼女は決めました。午後が彼女の最も良い時間帯なので、彼女は午後に外出を予定しました(詳細については下の「1週間の予定(Weekly Schedule)」を見てください)。彼女が夕方に自分に課した唯一のことは、夫と自身のために夕食を作ることでした。(夫は自分で朝食を作って、職場ではランチを買います)。彼女が一日にしたことは、自分のスケジュールに記載した項目だけではありませんでした。どちらかといえば、スケジュールに記載した項目は、彼女がワークシートを使い始めた時点で集中したかったことでした。彼女は最初にこれがうまくいったとき、さらに項目を追加しました。


朝のルーチン

食事
朝の薬をのむ
シャワー&着替え
To Doリストの評価と修正
ストレッチをする
20分休息

午後のルーチン

食事
ストレッチをする
この日の活動(「1週間の予定」参照)
20分間パソコン
20分休息

夕方のルーチン

夕食を作る&食事


1週間の計画

その日1日1日の計画を立てて順調だと思ったら、1週間のようなもっと長い期間の計画を立てることに取り組んでみてください。この挑戦は、ある期間にわたって症状を悪化させずに、どの程度の活動を続けることができるか見積もります。活動レベルを一貫させれば、疾患をコントロールできます。あなたは試行を繰り返して自分の持続可能な活動レベルを見付けることができます。たぶん、あなたは1日に2時間、あるいは4時間、もしかしたら14時間活動ができるかもしれません。あなたの制限は、異なった量の活動を試みて、その結果を注意深く見ることで決めることができます。

私は、書いて記録しておくことを強く勧めます。健康日記は、あなたがすることと症状との間の関係を明らかにすることができます。また、自分の決断の結果を見ることで、あなたが自分の行動について責任を持つのに役立ちます。そして、健康記録は、制限内にとどまれば症状の軽減や生活の安定といった面で成果を上げるということをあなたに証明するので、あなたをやる気にさせることができます。ログ(記録)をつけることの詳細は、第30章を見てください。

「1週間の予定」ワークシート

Jane は2番目の計画ワークシートを利用しました。「1週間の予定(Weekly Schedule)」ワークシートです。彼女が下の用紙にすべて記入したとき、彼女は自分の症状を悪化させずに毎日一つの大きな活動ができると考えました。午後が彼女の最も良い時間なので、活動の大部分を午後の時間に予定しました。彼女は典型的な1週間として次のワークシートを作成しました。何か予想外のことが起きたならば、項目の一つを自分の予定から削除しなければならないだろうということを彼女は知っていました。

彼女にとって運動は大切なので、1週間に2日、水中運動プログラムのためにYプールに行く計画を立てました。そして、食料品の買い物と他の用事のため、土曜日の午後を取っておきました。また、週に1度の料理、洗濯と家の掃除の時間をそれぞれ1日ずつ午後に予定しました。彼女は最後に、約束や社交的な付き合いのための時間を2日、午後に予定しました。彼女が夕方にする唯一の行事は、日曜日に娘たちを夕食に招くことでした。


My Weekly Schedule

日曜日 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日
午前
 
 
           
午後
毎週の
料理
Y
プール
約束 Y
プール
約束 洗濯
掃除
食料品
用事
夕方
家族の
時間
           

Jane はすぐに自分の1週間の予定が非現実的だったと結論を下しました。毎日何かをしようとすると、症状は前よりずっと悪化して、少なくとも1週間に1日は、午後をベッドの中で過ごさなければならいと彼女は分かりました。彼女は、週に2日、全く外へ出ない自由な日を予定することに決めました。また、日曜日の夕方に夕食を作ることも、娘たちをもてなすこともできないと判断しました。彼女の体はそれを二つの事柄と勘定しました。そして何よりも、1日に一つという彼女の制限を超えていました。

彼女はこの経験から、自分の本当の評価が 「CFS/FM評価尺度」で、おそらく25と30の間にあって、前もって考えた30から35までの間ではなかったという結論に至りました。彼女は自分の制限についてさらに考え、家族と話し合ったあと、1週間の予定を修正しました(下図参照)。彼女は週に一度の料理を日曜日から土曜日に変更しました。彼女の要望で、週に1度の食料品の買い物は夫がすることに決まりました。また、日曜日の家族の夕食は、夫と娘たちが交互に作ることにしてもらいました。 Jane は金曜日の午後を、洗濯と家の掃除にあてるのではなく、それを1週間かけて行うことで金曜日の午後を休息に使うことにしました。彼女はこの試行もうまくいかないかもしれないということを認識していました。彼女の次のステップは、雑事を手伝ってもらうように夫にお願いするか、あるいは誰かを雇うことでした。

Jane の経験は我々のプログラムの人々の典型的な経験です。ふつうCFSとFMに適応することは試行を伴い、そして多くの場合、作業は他の人たちに任せられます。


My Weekly Schedule

日曜日 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日
午前
 
 
           
午後
  Y
プール
約束/
休息

Y
プール
約束 休息 毎週の
料理
夕方
家族の
時間
           

ページの先頭へ

第9章 ペーシング戦略  CFS & FMとうまくつきあう方法
目次
 第11章 一貫性を実現する

inserted by FC2 system