慢性疲労症候群(CFS)入門

慢性疲労症候群 & 線維筋痛症とうまくつきあう方法

出典:Managing Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia: 2010 edition
on CFIDS & FIBROMYALGIA Self-Help

第11章 一貫性を実現する

CFSとFMのほとんどの人々は、エネルギーエンベロープ(疾患が一人ひとりに課したエネルギーの制限)の中にとどまれば生活の質が高くなるということを知っているのに、多くの人たちがそうすることが困難です。あなたがそうした状況にあるならば、制限内で生活することの一貫性を高めるためには、どうしたらいいでしょうか? 以下に考慮すべき九つの戦略があります。

ルーチンとリマインダーを使う

規則的な日課は、たくさんの意志決定を取り除きます。我々のプログラムの一人は「何がエンベロープ(疾患が一人ひとりに課した制限)内にあるかないかいちいち考える必要もなく、私は、安全だと分かっているスケジュールに従おうとしてきました」と言いました。もう一人は「特別な場合を除けば、私はほぼ同じ時間帯にほぼ同じことをします……。[私は長年にわたってそれをしてきたので]そうすることは苦痛ではありません―― 私の1日はこんなものです」と言います。

ペーシングは最初くじけそうになるかもしれません。人の生活習慣が変わるように、ペーシングも時間をかけて徐々に第二の天性となることができます。 Bobbie Brown はこれができました。彼女は記事 “25 Reasons Why I've improved” ( 「私が良くなった25の理由」)の中で詳しく説明しています。彼女は最初に、車の運転、パソコンと電話の使用時間、そして社交的な付き合いなど、活動に対する自分の制限を学びました。それから彼女は自分が見いだした制限内に収まるように、徐々に自分の生活を変えていきました。リマインダー(思い出させるもの)を使えば、習慣を変えるのが容易になります。例えば、パソコンの使用時間を制限するのにタイマーを使ったり、リマインダー用のメモ帳を冷蔵庫、浴室の鏡に貼ったりします。このトピックの詳細は第31章を見てください。

個人的な規則を作る

CFSとFMの一部の人々は、やり過ぎを防ぐため、自分に合わせた詳細な規則を使って成功を収めています。一連の個人的な規則に従って暮らせば、考える必要がなくなり、また、確かな判断力を惑わす、かって気ままな行動の影響が減ります。あなたが頭にかかったもやに悩んでいるならば、冷蔵庫、浴室の鏡、あるいは自分のパソコンのようなよく目立つ場所に、規則をテープで貼りつけることを考えてもよいでしょう。

これらは通則かもしれません。例えば、重度のCFSの一人は、自分に対して三つの規則があります。1週間に3回以上外出しない。家から12マイル(約20キロメートル)以上離れて車を運転しない。そして20分以上電話でおしゃべりをしない。

さらに、一部の人々は特定の状況に対して規則を作ります。例えば、どれくらいの時間パソコンを使うか、どれくらいの時間社交の場で他の人々と一緒に過ごすか、そして休息するまでにどれくらいの時間立っているかについて制限を設けるかもしれません。あなたが自分に対して独自の規則を作れば、あなたの疾患管理プログラムは二つの質問を自問するだけに簡略化できます。「今の私の状況は?」「この状況に対する私の規則は?」

関連した手法は、我々のウェブサイトの記事のタイトルを引用すれば、総合的な「慢性疾患管理のための個人的な指針」(“Personal Guidelines for Managing Chronic Illness”)を作ります。この記事の中のアイデアは、慢性疾患を抱えたあなたの生活を導くために、いくつかの規則を作ります。例えば、頭が混乱したとき、あなたを健全な選択に導くために、あなたが頼ることができる規則を作ります。

ストップと選択

人々が制限の外に引っ張られてしまう行為の一つとして、その時は魅力的だと思った誘惑に負けてしてしまうことがあります。このようなちょっとしたミスを避ける方法の一つは、行動に移す前にストップして、あなたは選択できるということに気づくことです。我々のプログラムの一人の女性は、過活動の結果を思い出すためのカードを、自分のハンドバッグに入れて持ち歩きます。表に「トレードオフ(代償)は何ですか?」と書いてあります。そして裏の「はっきりノーと言って(拒否して)ください」と書いてあるのを読みます。(2番目のものは代わりにこう尋ねることです。「私はその結果を受け入れるのですね?」)

もう一人の女性は、もしエンベロープの外に行ったなら、自分がどんな気分か思い描きます。彼女は「疲労と頭にかかったもやを想像することで、自分の制限を超える何かをすることを未然に防いで、一瞬の欲求に対抗します」と言います。3番目の女性は、選択肢を思い出すときに使ういくつかの言葉があると言います。その一つが、「私はこの作業を最後までやってクラッシュするか、あるいは自分の体の声を聞いてストップすることができる」です。

あるいはまた、前向きなことを重視できれば、ペーシングを使う利点を思い出すことができます。例えば、「制限内にとどまればコントロールできる」「ペーシングは症状を軽減する」「ペーシングは生活をもっと安定にする」などの自分への覚え書きを、家の中のよく目立つ場所に貼りつけるとよいでしょう。

記録をつける

1日に数分とかからない健康ログ(日誌)をつければ、少なくとも三つの点で、あなたはペーシングに一貫性を持たせることができます。

第一に、記録があれば、自分の制限をさらに明確に把握することができ、自分の行動と症状との間の隠れた関係を明らかにすることができます。記録があれば、1日にどれくらい安全に活動できるか、1週間にどれくらい安全に活動ができるかが分かり、活動の影響が遅れて現れるかどうかを見ることができます。また、健康ログによって、身体活動だけでなく精神的・感情的な活動の影響を知ることができます。

第二に、健康ログは、自分の行動の結果を記録するので、あなたが自分の行動について責任を持つのに役立ちます。記録を見直すことは自分の姿を鏡で見るようなものです。我々のプログラムの一人が言いました。「記録すると疾患の現実を痛感します。記録をつける前は、自分の時間のほとんどが約35%かそれ以下で機能していたことに気づいていませんでした。現在より過去の方が良かったという誤った認識によって、自分で無理をしていましたが、今ではそんな無理はしません」

第三に、記録は、制限内にとどまれば症状が軽減されるということ、生活をいっそう安定させるということをあなたに明示し、あなたをやる気にさせます。進歩の経過を見れば希望を持つことができます。記録管理の詳細については、第30章を見てください。

自分の期待を調整する

ペーシングに成功するための多くの戦略が、新しい習慣とルーチン(いつもの手順)を身につけることを必要とし、同時に、これらは期待を減らすことに基づきます。新たな期待を膨らませる能力は、今までとは別の態度、特殊な受け入れを身につける必要があります。回復したCFS患者 Dean Anderson が説明するように、この受け入れは「この病気の現実と、そしてたぶん今後一生、今までとは違う種類の生活を送る必要があるということの受け入れ」で、諦めではありません。

一部の人々は、自身を健康な人々と比較するのではなく、他のCFSとFMの人々と比較するほうが役立ちます。受け入れはしばしば数年を要するプロセス(過程)ですが、受け入れには大きな利点があります。一人の言葉を借りれば、「制限を超えようとするとき何が起きるのか、そうですぶり返しです!! そのことをよく知っているので、今では自分の期待を減らすことで自分が平穏無事でいられるようになりました」。受け入れの詳細については、第26章を見てください。

体が発するメッセージを受け取る

自分の体が送るシグナルに今までと違った反応をするように、自分自身を徐々に訓練することができます。体が送るシグナルを無視するのではなく、体からの警告を聞き、そして反応します。一人の言葉を借りれば、「元気になるには、(自分がしていたことを続けるために)自分の体が発するシグナルを無効にしようとすることから、体がストップあるいは速度を落とすように命ずるときにはシグナルを注意して聞くことまでの移行を必要とします」。もう一人は「私は、『完了するまで働く』を『疲れたらストップする』に置き換えることを覚えなくてはなりませんでした」と言いました。

徐々に変わる

CFSあるいはFMを抱えてうまく生活するために、どれだけたくさんの変更をしなければならないか考えると、時々圧倒されるかもしれません。解決策は、一度に一つのことに焦点を合わせることです。一人の女性がどのようにして変わったかを説明しました。「節度を守る人にすっかり変わるのは長期のプロセスでした。自分自身の変化は時間をかけて徐々にもたらされました。そして、次を追加しようとする前に、私はその変化がちゃんと正しいかどうか確認します」

自分を許す

誰もがいつも制限内にいられるわけではありません。人生は山あり谷ありで、ストレスの多いときもあれば、少ないときもあります。いつもの調子が出ないときや、どうしたらよいか分からないときは、自分を責めたりしないで、ただ、「この経験から何を学ぶことができるだろうか?」と言って、さっさと先のことを考えるほうがいいです。あなたの「心の中のつぶやき」(自分の考えの内面的なモノローグ)を段階的に変えていく説明は、第31章を見てください。

自分自身を大切にする

CFSとFMの一部の人々は自分のために行動するのに苦労します。場合によっては、その解決策は自己主張するようになることです。自己主張するようになるとは、あなたが自分の制限を見付けて、それを他の人たちに伝えるようになることです。我々のプログラムの一人の女性は、自己主張するようになってから、ぶり返しを避けることができたと報告しました。彼女は「薬、休息あるいは静かな時間を必要とするとき、それをはっきりと伝えること、そしてそれらすべてが必要なときに時間をかけることは、ぶり返しを予防するのに役立ちます」と書きました。自分ひとりですべてをしようとするのではなく、むしろ助けを求めることが、自分自身を大切にするのに欠かせない要素です。

また、別の人々では、他の人たちのニーズを自分自身のニーズより優先してしまう傾向があります。時に「喜ばれ屋」と呼ばれる、このCFSとFMの人々は、制限を設けること、あるいは「いいえ」と言うことが苦手です。このため、「喜ばれ屋」は自分自身を大切にしていないかもしれません。この特質は非常に根深いこともあり、これを変えるためにはカウンセリングを受ける必要があるかもしれません。

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第10章 ペーシングのライフスタイル  CFS & FMとうまくつきあう方法
目次
 第12章 旅行や特別な行事

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