慢性疲労症候群(CFS)入門

慢性疲労症候群 & 線維筋痛症とうまくつきあう方法

出典:Managing Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia: 2010 edition
on CFIDS & FIBROMYALGIA Self-Help

第14章 ペーシングのサクセスストーリー

ペーシングで成し遂げることができることを理解してもらうために、以下に、CFSを抱える JoWynn Johns と Dean Anderson の2人のサクセスストーリーがあります。 JoWynn は疾患によってひどく制限されていましたが、彼女は自分のエネルギーエンベロープ(疾患が一人ひとりに課したエネルギーの制限)の中で生活することで、長い間かけて改善しました。 Dean は最初、今より高いレベルで活動し、最終的に回復しました。2人は自分たちの経験を記事にしました。記事は Success Stories に掲載しました。また、他のペーシングのサクセスストーリーも掲載しました。

症状をコントロールする

企業幹部と経営コンサルタントのキャリアのあと、1991年に JoWynn Johns はCFSの症状を起こしました。最初の2年、彼女は「最悪の気分」にもかかわらず忙しい日々を送り続けました。彼女が「元気になる全力の努力をした」と言う、1993年から1997年までの期間、彼女は倒れるようになり、運動をはじめ、ヨガ、瞑想、ホメオパシー、特別食、薬、サプリメントなど、さまざまな手法を試して対応しました。実際に試した戦略はどれ一つとして彼女を助けることなく、彼女はプッシュ・アンド・クラッシュを繰り返すようになりました。

この期間に、彼女をより建設的な方向に向かわせた、二つの変化が起こりました。第一に、彼女は自分の体の声を聞き始め、自分に何が必要なのか問い始めました。第二に、彼女は自分の目標を変えました。回復するという考え方をやめて、彼女は体調が良くなることに焦点を合わせました。

彼女は、良い一日を過ごすとはどういうことか考えてみました。彼女は、良い一日は軽度の症状が全くなく、最低レベルの主要症状しかないことと決めました。また、良い一日として、散歩ができること、アートワークができることも挙げました。彼女はよく眠れないこととと悪い日との強力な関係を発見したので、彼女は良い夜の定義も作りました。少なくとも7時間眠ることと、爽快な気分で目が覚めることです。

次に、彼女は「良い日と良い夜を過ごすためには、何をしなくてはならないのだろうか?」と考えてみました。彼女は自分の記録とノートを調べたあとに、自分が六つの条件を満たしているならば、良い日を過ごすことができると結論づけました。ベッドで1日12時間過ごすこと、7時間睡眠を取ること、家にいること、自分の日常活動を制限すること、一度に1時間以上パソコンで作業しないこと、そして来訪者がいないかあるいは電話で長時間会話しないこと。これは彼女のエネルギーエンベロープ、すなわち彼女の一連の制限でした。(彼女の制限は、我々の「CFS/FM評価尺度」で20点を下回る点数に相当し、非常に制約されていました。あなたの制限は「あなた」独自の状況に依存します)

次の期間、 JoWynn は記録管理システムの開発に焦点を合わせました。これは、彼女の活動と症状を書き留めた毎月のカレンダーで、毎日・毎晩を良いか悪いか評価するものでした。ひと目で自分がどのようにしていたか見ることができるように、彼女は色分けしました。時間をかけて、彼女はパターンを発見しました。予想どおり、睡眠不足は悪い日と関係していました。そして、彼女はまた、頭脳労働と情動ストレスが身体活動と同じぐらい多くの症状を引き起しているということも発見しました。彼女は綿密な計画を立てることの動機を説明しました。「私は、身体活動と同様に精神的・感情的な労作の影響をじっくり考えるためにこの情報を目に見える形にする必要がありました。それに、自分がエネルギーエンベロープの中にとどまる効果について具体的な証拠も欲しかったのです」

彼女は最終段階に、「私はエンベロープを受け入た」と言いました。自分の制限内で生活することで、 JoWynn は疲労や他の症状を大いに軽減することができました。時間をかけて徐々に、彼女は毎月の良い日を1996年の約35%から1999年の80%以上まで著しく増やしました。2002年の終わりに、彼女は書きました。「今、私はほぼ100%症状なしの良い日を過ごしています。なんという改善ぶりでしょう! 私にとって、CFSにかかることは糖尿病にかかるようなものです。管理ができて、ライフスタイルの変化が必要な慢性疾患です」

2006年、彼女はさらなる改善を報告しました。彼女は言いました。「私は CFS に適応しました。私は初期から重い病状だったので、長年かかってしまいました」。2年間、彼女はIBS(過敏性腸症候群)になっていませんでした。そして彼女の睡眠ははるかに良くなっていました。彼女はまた、自主管理の手法の重要性を信じることも改めて口にしました。「長年にわたり、私はさまざまな治療法、治療薬、養生法、サプリメントを試してきて、幾つかの薬では最悪の結果を来しました。健康面では全く変わりはありませんでした。私の体調を良くし、私の病状を割合安定させ、そして私の優先事項を成し遂げることができるのは、予定した休息を取ることとペーシングだけです」

回復のストーリー

Dean Anderson の取り組み方は始点と終点が違っていたけれども、 JoWynn の取り組み方と似ていました。初めのうち、彼は正常の約60%に相当するレベルで活動し、4分の3の時間で働きました。8年間の苦闘の末、彼は、フルタイムの仕事、旅行、そして活動的な社会生活を取り戻し、自分のことを「実質的な回復者」と述べました。

彼はCFS発症後の9年間を書きました。そして彼は、自分の回復のほとんどが疾患発症から5年後に起きたと報告しました。彼は、自分が改善するには考え方と行動の両方が非常に重要であったと分かりました。前者を説明するのに、彼はCFSへの取り組み方が時間とともに変化していったと書きました。初めのうち、彼は、決断とハードワーク、良くなろうとする気概によって回復できると信じました。こうした取り組み方で、彼は幾らか改善をしましたが、気がつくとぶり返しによって打ちのめされていました。彼はそれを自分の意志が弱い証拠とみなしました。

時間とともに、彼は、回復するためのカギは違う考え方をすることであると信じるようになりました。彼はそれを特殊な受け入れと呼びました。彼はそれを諦めではなく、「この病気の現実と、そしてたぶん今後一生、普通の人とは違った生活を送る必要があるということの受け入れ」と説明しました。彼は「CFIDS から回復するために必要とされる『努力』は、決断と懸命の努力ではなく、訓練と希望です」と説明しました。この必須の訓練は、「自分の制限を認識し、それを堅持し、そしてずっと信じて厳密な養生法に従うこと……自分を守ろうとし、やり過ぎないようにし、そして不慣れで困難な状況下で生産的である方法を見つけようとする意志」が必要です。

彼は主治医と良い関係ができましたが、カイロプラクター(脊柱指圧療法師)、ホメオパシーの医師、そして鍼(はり)療法師の診察からは良い効果が得られなかったと書きました。また、彼はさまざまな代替療法を試しましたが、「私が試した治療、治療薬あるいはサプリメント食品のどれも効果がなかった」と結論を出しました。彼は、回復はすべて自分の努力次第だと考えるようになり、その信念を持って「回復戦略」を策定しました。彼の取り組みには、1日の健康日記をつけること、マイナスの影響のあるもの(人々と考え方の両方)を取り除くこと、そして静かに一人でいるようになること(例えば、テレビなしで生活するようになる)などがありました。

彼は戦略の中心的な要素として、仕事の安全レベルを決めました。試行を経て、症状を悪化させず、回復を危うくせずに1日に6時間働くことができると彼は結論を出しました。かなり症状が続いていましたが、彼は、非常にゆっくり改善しながら、安全レベルで働くことに成功しました。

彼は会社の本社から離れた職務を探し出し、それで自分の1日のスケジュールをさらにうまくコントロールできました。彼は、非常にゆっくり改善しながら、安全レベルで働くことに成功しました。また、彼はセルフケアのためのパートタイムのスケジュールで空いた時間をうまく使いました。ランチのたびにオフィスを出て、時間の一部を休息に使いました。また、1時間にわたる昼寝もし、家に帰ったあと毎日20分のビジュアライゼーションもしました。彼はほかにもルーチン(いつもの手順)と制限がありました。出張では、深夜便を断って、目的空港に到着したあとに昼寝をし、多くの夕食の招待を辞退しました。彼は、自分の戦略を要約して、「私は自分の制限内にとどまるために徐々に自分のペースを保つことを覚えました」と言いました。

彼はまた、仕事でしたのとちょうど同じように、自分の生活一部として、運動の制限を試行して見つけ、定期的に運動もしました。自分の運動の程度を評価するために心拍数モニターを使い、そして「運動持続時間、運動の前、最中、あとにそれぞれどう感じたか、特に次の日どう感じたか」の記録をつけました。さらに重要なことは、彼が運動に対して新たな考え方を学んだことです。回復した「運動中毒者」は、運動の先にゴールを設けず、その場限りの運動を楽しむように心掛けました。

彼はまた、自分の考え方と感情を改善することにも取り組みました。病気になってから最初の数年間、彼は生活で前妻と他の人たちに対して敵意を抱き、怒りを覚え、また過去の失敗に対して後ろめたさと後悔の念も感じたと報告しました。否定的考えと感情に左右されないために、彼は自分の考え方を変える懸命の努力をしました。

彼は、改善していくにつれて徐々に自分の就労時間を増やし、そして8年後には、「私は満ち足りて充実した生活に戻りました」と報告しました。彼は、CFS 患者に必要なものは、たとえ他の人たちがそうすることを拒否するとしても、疾患を受け入れる精神的・感情的な強さであり、さらに改善を促進することを一貫してやる訓練、そして希望の考え方であると信じ、彼は自分の回復ストーリーに“Acceptance, Discipline and Hope”(「受け入れと訓練、そして希望」)とタイトルを付けました。

要約

JoWynn と Dean はCFS に対応するのに同じような戦略を使いました。両人は、疾患の現実、そして今までとは違う種類の生活を送る必要性を受け入れました。体の声を聞き、異なる活動レベルを試行し、そして詳細な記録をつけることで、両人はそれぞれ制限を見いだしました。柔軟な取り組みを続け、頻繁にじっくり考え、そして自分の経験から学びました。そして、両人とも、改善へのカギは、疾患の制限内で一貫して生活する習慣を身に着けることであると分かりました。彼らの経験は、CFSやFMの人々がペーシングを一貫して使うことで、自分の症状と生活の質に重要な影響を及ぼすことができるということを明確に示します。

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第13章 ぶり返しを最小限に抑える  CFS & FMとうまくつきあう方法
目次
 第15章 仕事の選択肢

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