慢性疲労症候群入門

慢性疲労症候群 & 線維筋痛症を管理する方法
出典:Managing Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia: 2010 edition
on ME/CFS & FIBROMYALGIA Self-Help

第15章 仕事の選択肢

仕事の問題は最も解決するのが難しい問題の一つとなることがあります。肉体的・精神的に苦しい今の仕事を続けるべきでしょうか、それとも何かしら変更をするべきでしょうか?

あなたが疾患の重症度においてその対極にいるならば、答えは明白かもしれません。CFSあるいは線維筋痛症(FM)にあまり冒されてない人たちは、週末に休息したり、人づきあいを減らしたりすることで、疾患に適応してフルタイムで働き続けることができるかもしれません。その一方で、疾患が非常に重く全く働くことができない人たちは、雇用者を通して民間の障害保険金を請求する、または政府の障害給付金を請求する、もしくはその両方を請求することが最善策かもしれません。(障害給付はCFSを持つ人たちやFMを持つ人たちに比較的よく見られます。平均して、我々の入門コースの約3分の1の人が、障害給付を受けていると報告します)

この中間にいる人たちが考慮すべき四つの選択肢があります。

1. 職務上の便宜を得る:米国障害者法によれば、雇用者は障害を持つ人たちのために「相当な措置」を取る義務があります。このような措置には、仕事のスケジュールを変更したり(例えばフレックスタイムを使う)、人間工学的に適切な設備をそろえたり、職務を変更したりすることが含まれます。職務上の便宜を利用することは仕事ができるかどうか試すことにもなります。もし仕事を自分の制限に合わせようとする努力が失敗したなら、障害保険金を申請するか、あるいは以下の選択肢の幾つかを考えてください。

2. パートタイムの仕事に切り替える:CFSを持つ人たちやFMを持つ人たちの中には、フルタイムの仕事からパートタイムの仕事に変更して自分の制限に対応する者もいます。フルタイムで働くより、週に15時間から30時間働いたほうがそれほど過酷でなく、ゆっくりとしたペースの生活を送ることができ、より多くの時間を休息にあてることができます。また、より柔軟なスケジュールも可能になるかもしれません。労働時間を短縮すれば、より責任の軽い地位へ変更になる可能性もあります。労働時間の短縮と同様に、地位の変更でもエネルギーが他の目的のために使えるようになりますが、このような変更に対しては経済的な適応だけなく、ある程度感情的な適応も必要となります。

3. 休暇を取る:一部の会社では従業員に数カ月までの間休暇を取ることを認めているところがあります。仕事を休むことによって治療に専念でき、自分が働くことができるのかどうか、そしてもし働けるのならどれくらい働けるかが明らかになるかもしれません。

4. 職業を変える:最後に、職業を変えて、疾患が課した制限に合う仕事に従事しようと考えてはどうでしょうか。我々のプログラムの人たちは、責任の軽い地位やより感情的な負担の少ない仕事、肉体的に楽な仕事に変更しました。中には在宅ビジネスを展開した人たちもいて、特に、疾患の波に合わせるため柔軟なスケジュールを可能にしました。

ある女性の解決策

作業療法士(OT)の Kristin Scherger は、記事 “Expanding My Envelope: How I Balanced Work and CFIDS”(「エネルギーエンベロープを広げる:私はこうして仕事とCFIDSのバランスを取った」)の中で、働き方に関するジレンマをどのように解決したかを説明します。(CFIDSは慢性疲労症候群の別称です)

彼女は病気になってまず、フルタイムの仕事をパートタイムの仕事に変えて仕事とCFSの両立を図りましたが、それでもまだ症状が強く、生活が安定しませんでした。次に、試しにオンコール(いつでも呼び出せる)のOTとして働いてみましたが、それもうまくいきませんでした。「私は働けるならへとへとになるまで働きたいけれど、そうしたら回復するまで何日も休息が必要になってしまう。私の生活は依然として目まぐるしい変化が続きました」。彼女は担当する患者にいらいらしました。「私の大好きだった職業が悪夢になっていました」

やがて彼女は、自分が回復していないことに気づきます。記録を見て、自分がエネルギーエンベロープ(疾患が一人ひとりに課すエネルギーの制限)の外にいることを確信します。彼女は我々の「CFS/FM評価尺度」を使って、働いた日を約30点と評価しましたが、働いていない日を45点としました。彼女は決心します。もし職業を変えなければ「決して目まぐるしい変化から抜け出せない」と。彼女は管理職になって生活の安定を手に入れ、自分のエネルギーエンベロープを広げることができました。新しい生活について彼女は「数年前の全く働いていなかったときより今のほうが活動量と症状がもっといい」と書きます。彼女は自身をほとんどの場合60点、時にはそれ以上に評価します。

Kristin の記事は、疾患と仕事のバランスを保つのに苦闘している人たちによく見られる2つのテーマを例証しています。第一に、長期的な解決策を見付けるのにある程度時間がかかりました。Kristin は自分にとってうまくいくものを見付けるまでに幾つかの勤務形態を試しました。第二に、最終的な解決策は自分の制限を重んじました。自分の体が許容できる状況を見付けるまで、彼女の試行は失敗し続けました。ひとたび負担が取り除かれると、彼女の体は制限を広げるのに十分なくらい回復しました。

米国における障害給付について

いつ障害給付金の申請をするか決めるのは難しい問題です。障害給付金の受給資格は直近の収入に基づくので、申請するのを待つとちょっと厄介なことになります。もしあなたが、障害給付金を申請する前に長期間にわたるパートタイムの仕事に切り替えたとしたら、給付金の総支払額はある程度収入に基づくので、あなたが受け取る障害給付の額が減ってしまうかもかもしれません。もしパートタイムの仕事に切り替えて症状が軽減されなければ、すぐに障害給付金を申請して月々の受け取り額を最大にするほうがいいかもしれません。

更新日:2017年12月3日

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