慢性疲労症候群(CFS)入門

慢性疲労症候群 & 線維筋痛症とうまくつきあう方法

出典:Managing Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia: 2010 edition
on CFIDS & FIBROMYALGIA Self-Help

第16章 運動

病気で寝込んでいると、活動レベルが下がり、体調不良、疲労、疼痛、硬直、不安、そして憂鬱な気分が生じます。逆方向にねじを回す一つの方法は運動です。運動することで、これらすべての要因が弱まります。また、運動すれば健康状態がより良くなります。まず、運動すれば、疲労を軽減し、疼痛を緩和し、硬直を和らげることができます。次に、運動すれば、気分が良くなります。

運動は通常、線維筋痛症の治療法の重要な一部であり、同様にCFS患者にも役立つかもしれません。運動プログラムを始める前に、主治医に問い合わせてください。主治医は、あなたに、理学療法士あるいは作業療法士のような運動を専門にする他の専門家を紹介するかもしれません。

大きく分けてフィットネス・プログラムには三つのタイプの運動があります:

CFS vs. 線維筋痛症

運動のタイプと運動量は、疾患の重さ、そしてCFSあるいは線維筋痛症のどちらにかかっているかによって異なるでしょう。

ほとんどのCFS患者は、運動で症状が悪化しやすく、それで、CFS患者は労作後疲労(活動のあとの極度の疲労)を予防することに焦点を合わせます。身体活動すべてが運動であると考えるべきです。たとえ正式な運動プログラムがなくても、家の掃除、衣類の洗濯、料理、買い物、あるいは庭仕事などをしているならば、あなたはすでに運動しています(そして、やり過ぎているかもしれません!)。やり過ぎる活動が何か突き止める方法については、下の囲みを見てください。多くのCFS患者は、症状を悪化させずにどれくらい活動できるか厳しい制限があります。そのため、運動するために、他の幾つかの活動をやめるか、あるいは活動の予定を変更する必要があるかもしれません。

CFSのための運動プログラムはたいてい、柔軟運動と筋肉運動に焦点を合わせます。持久運動も役立つかもしれませんが、さらに活動する患者向けであると言えます。運動でペーシングを応用し、活動と休息を交互に行います。一部の人々は、労作のあとに数分間の休息が必要なので、労作はわずか1分間だけかもしれません。

心拍数と労作後倦怠感

あなたがCFSにかかっているならば、たぶん「労作後倦怠感」(やり過ぎに起因する重度の疲労)について知っているはずです。労作後倦怠感に対する一つの誘因が、自分の心拍数の場合があります。心拍数が限界を超えれば、倦怠感が結果として生じるでしょう。限界はたいてい、最大心拍数の約60%です。(最大心拍数は220からあなたの年齢引いた数です。例えば50歳の人では、最大心拍の60%は1分あたり102回です。次のように計算します:[220 - 50] x 0 .60)

日常行為で容易に限界を超える人々もいます。例えば、我々のプログラムの一人の女性は、単に階段を上るだけで限界の心拍数を超えてしまいました。もう一人の女性は、以前自分の娘を抱き上げると、よく限界を超えたと言います。前者の解決策は、階段を上る途中で止まって、ちょっと休むことでした。後者の解決策は、座って、子供をひざの上に載せることでした。また別の女性は、活動が多くて自分の制限を超えてしまうということが分かって、さほど疲れないように活動するようになりました。キッチンでは、彼女は椅子に座って多くの活動をし、いくつかの段階に分けて食器洗い機の中を空にし、そして体をかがめなくてもいいように、物を拾うために、つかみ取る道具を使います。

自分の心拍数の限界内にとどまれば、エネルギーエンベロープの拡張につなげることができます。我々のプログラムの一人が報告しました。「私はこの1年間でかなり改善しました。ほとんど心拍数モニタリングのおかげですが、訓練して、自分の体が処理できるレベルまで活動を減らしてきました。自分の制限内にとどまろうと努めることで、私のできることをゆっくり増やしてきました」

あなたが、心拍数モニタリングが役立つかもしれないと思うならば、主治医に問い合わせてください。この話題の詳細については記事 “Pacing by Numbers: Using Your Heart Rate To Stay Inside the Energy Envelope” (「数値によるペーシング:心拍数を使ってエネルギーエンベロープの中にとどまる」)を見てください。

CFS患者にとって最大の危険が労作後倦怠感であるならば、線維筋痛症患者にとって最大の危険は動かないことです。線維筋痛症患者の作家 Stacie Bigelow は、線維筋痛症にかかっている人々に、セメントトラックについて考えることを提案します。ドラムが常に動いている限り、ドラムの中のセメントは柔らかいままです。しかしながら、ドラムの回転を止めれば、セメントは固まってコンクリートになります。FM患者のための運動について、彼女や他の権威は20分から30分間体を動かさないでいたら、2分から5分間体を動かすように勧めています。試行して、あなたに効果がある組み合わせを見付てください。

Bigelow 女史は線維筋痛症のための運動プログラムを、シャワーを浴びること、ベッドを整えること、食事を作ること、買い物すること、子供の世話をすることなどの日常活動を増やすことから始めるのを提案します。日常活動への取り組みには、姿勢と動作、そして活動のペースに対する注意もあります。疼痛を扱う章で述べたように、疼痛をコントロールする一つの方法は適切な姿勢と身体力学から得られます。また、活動と休憩を交互に行えば、疼痛が悪化する可能性が低くなります。

線維筋痛症のための正式な運動プログラムは、ストレッチ運動で始めることがあります。活動しているのと同じように、ストレッチ運動は体の柔軟性を高め、それによって疼痛を緩和し、硬直を和らげます。ストレッチ運動のルーチン(いつもの手順)は、ほぼ毎日できます。(柔軟運動の例については、 Bigelow の本、 Fibromyalgia: Simple Relief through Movement (「線維筋痛症:運動で簡単に痛みが軽減」)の第4章と The Arthritis Foundation's Guide to Good Living with Fibromyalgia (米関節炎財団の「線維筋痛症を抱えてうまく生活するためのガイドブック」)の第6章を見てください)。線維筋痛症の運動プログラムには通常、ウォーキングあるいは水中運動などの持久運動もあります。2、3種類運動してもよいです。しばしば、線維筋痛症の人々は、1週間のほとんど、持久運動することがあります。最後に、FMのための運動スケジュールに、週に2、3回の筋肉トレーニングを入れるべきです。(筋肉の強化訓練の例は、 The Arthritis Foundation's Guide to Good Living with Fibromyalgia The Arthritis Helpbook (「関節炎ヘルプブック」)の第12章を見てください)

多くの線維筋痛症患者が水中運動のクラスに参加します。一つの例が、米国の多くの場所で提供されている、 Arthritis Foundation (米関節炎財団)の Aquatics (水中)プログラムです。詳しくは、財団のウェブサイトを見てください: www.arthritis.org

運動ガイドライン

運動プログラムを作成するとき、以下の一般的ガイドライン(指針)を考慮してください。

1.運動プログラムを自分のニーズに合わせる。CFSと線維筋痛症のための運動プログラムは、一人ひとりの状況に合わせて作成します。運動のタイプ、持続時間、そして強度は、あなたの疾患の重さに依存するでしょう。また、CFSあるいはFMのどちらにかかっているかによっても異なるでしょう。あなたの運動耐性は一日の時間帯によって変わるかもしれません。そのため、運動する時刻によって自分の制限がどのように影響を受けるか理解することが重要です。

2. 現実的な目標を設定する。CFSやFM患者の運動と、健康な人の運動では目的が違います。健康な人は、マラソンのようなイベントに参加するためにトレーニングするか、あるいは体を鍛え上げるために取り組むかもしれません。この人たちは目標を設定し、そして無理することができます。このような取り組み方は、CFSと線維筋痛症の人々の症状をより悪くする可能性が高いです。CFSの人々のための適切な運動目標は、日々の活動をもっと容易にするために必要な健康を増進することです。線維筋痛症の人々は、硬直を和らげ、疼痛を緩和するために運動を採り入れることが現実的です。

3. 少ない量から、徐々に増やす。症状が悪化しない、安全レベルの運動を見つけることから始めてください。目標は、1週間に数回できる運動を持続することです。あなたは体の柔軟性を高めるために、ストレッチ運動、ヨガ、あるいは太極拳を試すかもしれません。筋力トレーニングは、軽量のウエートを使うか、あるいはアイソメトリック運動とアイソトニック運動を採り入れます。(アイソメトリック運動は、関節を動かさずに筋肉を引き締めます。アイソトニック運動は関節を動かします)。持久力のカテゴリーでは、CFSとFMの多くの人々がウォーキングと水中運動プログラムを採り入れます。一部の人々は、1セッションあたりわずか1、2分という少ない量の運動から始めます。

長い期間、同じ持続時間の目標を持ち続け、体が耐えられるように徐々に持続時間を増やすことが通常推奨されます。1日30分というような最終的な合計時間を目指し、そして合計30分の運動時間を多くの短いセッションに分割してもよいです。30分の運動スケジュールまで徐々に増やすのに、6カ月から1年かかるかもしれません。一部の患者には、30分は非現実的な目標設定です。

4. 自分をモニターする。休息しているときを1、想像できる最大限の運動を10とすると、ほとんどの患者の運動強度は4から5の範囲にあるべきです。適切なレベルの有酸素運動をしているかどうか決定するのにしばしば使われる基準は、トークテストです。運動している最中に会話することが可能であれば、適切なレベルの有酸素運動をしていることになります。運動のあとで痛みが数時間続くならば、運動プログラムの運動強度と運動時間を試行してください。運動の前に温熱あるいはマッサージを、運動のあとに寒冷を試みることで、痛みを軽減できるかもしれません。熱パッドの温熱、あるいは温水(シャワーあるいは入浴)は血流を増やします。アイスパックの寒冷あるいは冷凍野菜のアイスバッグは炎症を抑えます。

自分の運動プログラムを評価し、様々な問題の解決を図るために、自分の運動とその結果を記録しておくように考えてください。時間、運動の持続時間、運動強度、そして運動の前・最中・あと・次の日の症状レベルを記録します。あなたは10点満点制を使うか、あるいはL(低い)、M(中ぐらい)、H(高い)を使って症状を記録することができます。日記があれば、運動の影響を見るのに役立ちます。運動の影響は何時間後も、あるいは1日たってでも遅れて現れるかもしれません。

運動をやり続けるコツ

最も運動の恩恵を受けるのは、規則的に運動する人たちです。以下に、運動プログラムを忍耐強く続ける方法についていくつかのアイデアがあります。

1.運動を楽しむ。運動していることが好きであれば、運動プログラムを続ける可能性はずっと高くなります。自分が楽しい運動の形を見付けてください。音楽を聞くか、あるいは他の方法で気を紛らすかして、運動の時間をもっと楽しく過ごしてください。

2. 適切な運動環境を見付ける。一人で運動する気になれずに困っているならば、友人と運動するか、あるいは運動教室に参加してください。確約して、運動しながら社交的につきあえば、運動を続ける可能性が高まります。

3. 記録をつける。記録をつけることで、やる気を出そうと考えてください。目標を設定して進捗状況を測ることは、運動プログラムを続けるのをしばしば助けます。また、運動日記をつければ、自分で責任を持つことにもなります。

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第15章 仕事の選択肢  CFS & FMとうまくつきあう方法
目次
 第17章 栄養摂取と化学物質過敏症

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