慢性疲労症候群入門

慢性疲労症候群 & 線維筋痛症を管理する方法
出典:Managing Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia: 2010 edition
on CFIDS & FIBROMYALGIA Self-Help

第2章 自分の置かれた状況を理解する

CFSあるいは線維筋痛症(FM)に罹(かか)った人たちは一人ひとり違うので、CFSあるいはFMの自己管理計画はその人に合わせて個別に作成しなければなりません。以下の質問に答えて「あなた」だけの状況を理解してください。

CFSあるいはFMの重症度は?

CFSやFMの重症度はかなり個人差があります。CFSを持つ人たちとFMを持つ人たちの活動は通例50%から75%減少しますが、その範囲は広いです。働き続けることができる者もいれば、生活にある程度支障を来した者、あるいは外出できない者、さらには寝たきりでいる者もいます。症状のパタ-ンもさまざまです。主訴が疼痛という者もいれば、主訴が疲労、あるいは頭にかかったもや、睡眠不足という者もいます。

さらに複雑なことに、疾患は時がたつと変化するかもしれません。いくつかの症状が消えても、結局新しい症状に置き換わるだけかもしれません。比較的安定した経過をたどる者もいれば、憎悪期と寛解期の間を変動する者もいるかもしれません。

自分なりのCFSあるいはFMを知るため、自身を「CFS/線維筋痛症の評価尺度」で評価してください。活動レベルに基づく評価と、症状に基づく評価に食い違いがあるときは、症状の重症度を使って自身を評価してください。我々のプログラムでは、コースの開始時に、ほとんどの人が自身を25点から45点の間に評価しますが、評価は尺度のほぼ全範囲にわたっています。

評価した点数で現在の疾患の重症度と体が許容できる活動レベルが分かります。例えば、自身を35点(我々のプログラムの平均点)と評価したなら、症状を強めることなく1日に約3時間活動できることになります。評価した点数がもっと低ければ現在体が許容できる活動レベルはもっと低くなるでしょう。逆に、点数がもっと高ければ、もっと活動できることになります。



CFS/線維筋痛症の評価尺度

100 全治。症状のない正常な活動レベル。
90 軽度の症状が時々ある正常な活動レベル。
80 幾つかの症状があるほぼ正常な活動レベル。
70 何とかフルタイムで仕事ができる。ほとんど軽度の症状。
60 1日に約6~7時間の仕事ができる。 ほとんど軽度から中等度の症状。
50 1日に4~5時間の仕事、あるいは家で同じような活動ができる。 毎日休息が必要。ほとんど中等度の症状。
40 毎日外出ができる。平均して中等度の症状。1日に約3~4時間の仕事、あるいは家事、買い物、パソコンを使うなどの活動ができる。
30 1週間に数回外出できる。ほとんど中等度から重度の症状。家で1日に約2時間の仕事、あるいは家事、買い物、パソコンを使うなどの活動ができる。
20 1週間に1、2回外出できる。中等度から重度の症状。1日に1時間以下集中できる。
10 ほとんど寝たきり。重度の症状。
0 常に寝たきり。自分自身の面倒を看られない。


他の疾患がありますか?

CFSや線維筋痛症を抱えた生活は、さらにほかの疾患が存在するため複雑なことが多いです。多くの人たちがCFSとFMの両方に罹ります。また、CFSおよび線維筋痛症は、多くの場合一つ以上の関連疾患を伴います。さらに、CFSを持つ人たちとFMを持つ人たちはしばしば、関節炎、腰や背骨の痛み、高血圧といった老化に共通する疾患に罹ります。

CFSと線維筋痛症に伴う疾患でよく見られるものを以下に列挙します。これらの疾患のほとんどが治療可能です。もし一つ以上当てはまる疾患があったら、それらを治療することで全体として症状を減らすことができます。

生活状況はどうですか?

CFSを持つ人たちあるいは線維筋痛症を持つ人たちは、自分の疾患の重症度と関連疾患の重症度が一人ひとり違うように、生活状況も一人ひとり違います。中高年の人が多いですが、若者も、高齢者もいます。結婚している者もいれば、独身の者もいます。子育てをしている者もいれば、子供が独立して家に残された親もいます。家族などの他の人たちと協力的な関係にある者もいれば、対立的な関係にある者もいます。経済的に安定している者もいれば、困っている者もいます。

自分の置かれた状況を理解するには、あなただけの生活状況(特に財源と人間関係の面で)が自分の疾患にどう影響しているかを見極める必要があります。

CFSを持つ人たちあるいは線維筋痛症を持つ人たちのほとんどが、病気になってから自分の経済状態が病前とほとんど変わっていないと分かります。おそらくその人たちは、CFSあるいは線維筋痛症が軽症で、働き続けることができるのでしょう。それとも、家族の誰かが働いているか、あるいは前の収入の一部にとって代わる障害者給付金を受け取っているのでしょう。しかしながら、そうでない人たちは生活に困窮しています。一部には、ほとんどあるいは全く収入なしで、いざというときの金銭的な蓄えもなく一人で暮らしている人もいます。多くがだいたいこの中間です。ある程度経済的に苦しいですが、いずれにしろ病前とほぼ同じようなライフスタイルを維持することができます。

慢性疾患は人間関係を変えます。他の人たちに新た責任を負わせ、そのうえ新たな緊張と新たなフラストレーションを引き起こすからです。あなたは独身で、一人で疾患と闘うかもしれません。たとえ家族と暮らしているとしても、孤独感を抱き、理解されていないと思うかもしれません。家族全員が前と違った暮らしをする必要に迫られます。家族の中には、さらに責任を引き受けなければならない者もいるかもしれません。人間関係は大きなサポート源、あるいはストレスの原因、もしくはその両方になり得ます。

自らの課題とそれに対処するための資源は、自分の置かれた状況に応じて変わるでしょう。自分の生活状況を理解するために、次のことに焦点を合わせてください。家庭事情(一生独身か、あるいは結婚している[いた]か)、家族に対する責任(つまり扶養家族。よくあるのが子供、時として親、配偶者、孫など)、財源、そしてサポート源(家族、友人、教会、宗教団体など)。

対処技能と考え方はどうですか?

自分の置かれた状況には、ほかに二つの重要な要因を含みます。それは自身の対処技能と考え方です。両方とも変えることができます。CFSあるいは線維筋痛症に罹っているという事実は変えることはできませんが、新しくてより効果的な方法を習得して両疾患に対処することができます。

学術的な研究によって、慢性疾患のある人々が、我々のような短期間の自助クラスを通じて効果的な対処技能を習得できることが明らかになっています。このようなプログラムの一つに、関節炎自助コースがあります。1970年代後期にスタンフォード大学で開発され、今までに35万人を超える人々がコースを取りました。クラスの参加者は疼痛と鬱症状を大幅減らして、活動レベルを増やしました。

よく似たプログラムで皮膚がんと慢性疼痛に対してそれぞれUCLAとハーバード大学が、同様の結果を出しています。皮膚がんに対処する6週間のコースを取った人たちは、他の皮膚がん患者と比べて平均余命が増えました。また、慢性疼痛と闘うコースを取った人たちは、受診回数や不安・鬱症状の度合いを減らし、慢性疼痛を軽減しました。

低脂肪食の食餌療法、運動、グループによるサポートなど、生活習慣を変えることで、 Dean Ornish のプログラムの患者は心臓疾患の症状の進行を逆転しました。他の研究では、糖尿病の人たちが血液検査とインスリン注射による養生法を改善して、心臓発作と脳卒中のリスクを半減することができました。

この種のプログラムで最も良くなる人たちは、疾患をいくらか管理する自分の能力を信頼する人たちです。この人たちは自分が病気であることを否定せず、完全に回復できるというような非現実的な希望は持っていません。しかし生活を改善する方法を見付けられると確信しています。良い対処技能は生活の質にとって非常に重要であり、長期にわたる疾患の経過を変えさえするかもしれないことを、これらのクラスは明確に示しています。

長期にわたる疾患を上手に受け入れるためには、考え方も重要です。役に立つと思われる考え方は、現実的で希望の持てる考え方です。我々はこれを「闘志ある受け入れ」と呼びます。この考え方を持つ人たちは、一見すると相いれない二つの考えを併せ持ちます。一方では、自分の疾患が長期にわたる疾患であることを受け入れます。特効薬で健康を取り戻せると思っていません。それどころか、この人たちは、自分の生活が変わってしまったことで以前と違った暮らしをしなければならないと認めます。その一方で、自身の努力によって良くなる方法を見付けることができると確信しています。(我々のウェブサイト Success Stories [サクセスストーリー]にいくつか例があります)

他の生活問題の場合と同じように、慢性疾患を管理する方法を身につけるためには日常的な習慣や日常の生活を調整して新しい状況に適応することを伴います。来る章からは、気分が良くなるためにできることの多くのアイデアがあります。それらの戦略はCFSや線維筋痛症を治すことを目指していませんが、生活の質を向上させるのに役立ち、あなたの機能レベルを増やすかもしれません。

長期にわたる疾患を自己管理するには、努力と忍耐を必要とします。我々のプログラムで多くの人たちは、自分が管理する物事に責任を負うことにより、それらが症状と生活の質に大きく影響すると分かりました。皆さんが、我々のプログラムでこの多くの人たちに加わることができるのを望みます。

更新日:2018年1月21日

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