慢性疲労症候群(CFS)入門

慢性疲労症候群 & 線維筋痛症とうまくつきあう方法

出典:Managing Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia: 2010 edition
on CFIDS & FIBROMYALGIA Self-Help

第20章 人間関係を改善する八つの方法

重い病気になると、たいてい人間関係でストレスが生じます。CFSあるいはFMの人たちと、その周りの人たちの両方に新たな課題が生まれ、家族・友人・同僚・上司との関係、そして医師との関係さえ変わってしまいます。CFSとFMの人々は人間関係で多くのフラストレーションを感じます。

この章では、人間関係を改善する八つの一般戦略を説明します。このセクションの他の章は、家族の関係を作り直すこと、カップルが協力する方法を改善すること、支援ネットワークを構築すること、医師と建設的に取り組むことに焦点を合わせます。

評価とトリアージ

あなたがCFSあるいはFMにかかっているならば、たぶん多くの関係が見直され、そして幾つかが終わるでしょう。自分の支援ネットワークに誰を含めるべきか明確な決定をする「人間関係のトリアージ」を実行することで、この移行を意識的、計画的なプロセス(過程)にできます。

評価のとっかかりは、CFSや線維筋痛症にかかると、否定的かあるいは要求の多い人たちに対して傷つきやすくなるということかもしれません。このような人々と一緒に時間を過ごす代価は、関係の幾つかが維持する価値がないことをあなたに納得させるのに十分かもしれません。それでもあなたは、必要と考えて、まだそのほかの関係を維持すると決めるかもしれません。

あなたの人間関係を一連の同心円状の輪とみなします。この案では、内側の輪はあなたの生活で最も重要な人々。たいてい家族と親友を含みます。外側の輪の人々はちょっとした知り合いです。中間に、そのほかのさまざまなレベルの重要性を持つ人々の輪がいくつかあるかもしれません。あなたは、内側の輪の人たちに集中しながら、さまざまな輪の人々へ異なる要請を策定することが可能です。

この概念は、有益あるいは必要な関係に集中し、他の関係を諦めることです。スタンフォード大の David Spiegel 医師の言葉を借りれば、「自分のエネルギーを節約し、望ましくない付き合いをやめる口実として疾患を利用してください。必要であるけれども報われない関係をシンプルにし、不必要かつ報われない関係を取り除いてください」。

社交的な付き合いを変える

社交的な付き合い方を変えることで、多くの関係を保つことができるかもしれません。例えば、厳しい制限があって、そんなにしばしば外出できないならば、電話や電子メールを使ったり、さらに訪問してもらったりすることで、連絡を保つことが可能です。

もう一つは、付き合いの長さを制限することです。例えば、電話で話す時間、あるいは他の人たちと向かい合って過ごす時間を制限します。3番目の変更は、付き合いの環境を変えることです。例えば、レストランの最も忙しい時間の前か、あとに行くならば、レストランで過ごす時間を我慢できるかもしれません。

他の調整としては、一緒につきあう人数を制限すること、休憩時間を取ることがあります。大家族を持つ一人の女性は、彼女が一度に複数の夫婦(そしてその子供たち)のホスト役をするつもりはないと、成人した子供たちに言いました。

自分の役割を果たす

CFSとFMは多くの家族の財政状況を変え、しばしば家事の分担を劇的に変え、そして家族が一緒にできる活動の数・範囲を減らしてしまいます。あなたと全く同じように、家族一人ひとりが孤立感と無力感を味わいます。家族一人ひとりの夢が保留にされるので、彼らは失望するかもしれません。また、一人ひとりの生活に対する制約によって、彼らは見捨てられたと感じるか、あるいはもどかしさを感じるかもしれません。症状の予知不可能さが原因で、他の人たちがあなたを頼りにならないと考え、また、気分の変動が他の人たちに悪影響を及ぼすかもしれません。

人間関係の緊張を徐々に和らげる一歩は、自分の疾患が他の人たちに問題を引き起こすことを、あなたが認めることです。例えば、あなたが症状と気分のせいで予測がつかないこと、制限が他の人たちにさらに責任を負わすことなどを認めます。他の人たちの尽力に感謝の意を表してください。そして、この疾患はあなたを頼りなくさせる可能性があることを認識してください。他の人たちに敬意を払って、もしかしたら急にキャンセルしなければならないかもしれないと事前に言ってください。関係を維持するのを助けるため、あなたが他の人たちを重んじていて、キャンセルするのは彼らが嫌いということではないと言ってください。

自分の疾患が他の人たちに対して引き起こす問題について責任を取ってください。例えば、疾患のせいであなたの機嫌が悪くなるのならば、その気分が他の人たちに伝わるのを避けるために、自分の体調を良くすることができる行動のリストを作ってください。あなたがいらいらしているとき、例えば、音楽を聴いたり、散歩したり、短い休息を取ったりしてください。

期待を変えて、自己主張する

罪悪感あるいは他の人たちからのプレッシャーで、あなたは自分の体が耐えられる以上のことをするかもしれません。解決策は、自分自身の期待を変えることと、もっと自己主張することです。期待を変えるとは、自分の制限と、「新しい基準」に適応する必要性に気付くという穏やかなプロセス(過程)です。詳細は第26章を見てください。

自分の制限について他の人たちを教育するのが穏やかなプロセス(過程)であるのと同じく、自己主張することを習得するのもまた緩やかなプロセスになることがあります。自己主張するには、第一に、あなたの要請あるいはあなたが設けた制限が非常に明確であるべきです。例えば、「食料雑貨店でパンとミルクを買ってきてもらえるでしょうか?」あるいは「あなたと話ができて大変うれしいのですが、私は15分がちょうど適しているのです」と言ってください。我々のプログラムの一人の女性は、その日の自分のエネルギーエンベロープ(疾患が一人ひとりに課したエネルギーの制限)を1から10の数字を使って家族に伝えます。彼女のシステムでは、1は「私が病気になる以前と同じ」を意味し、10は「1日中ベッドで安静にしている必要がある」を意味します。家族から何かをするように頼まれると、彼女は、「いいえ、私はそれができません。今日は7です」というように対応します。

第二に、あなたが他の人の置かれた状況を理解していることを示してください。「私は、自分の疾患があなたの生活を困難にし、私が言ったり、したりすることの幾つかがいらいらさせることがあると分かっています」、というようなことを言います。第三に、「あなたが私にしてくれるすべてに感謝しています」というような感謝の言葉で要請を始めてください。第四に、あなたにとって自己主張するのが難しければ、助けてくれる人にしてほしいことを言う前に、要請を自分自身あるいは信頼する誰かに言って練習してください。

他の人たちを教育する

おそらく、CFSとFMの人々に最も多い人間関係のフラストレーションは、理解されず、病気だと言っても信じてもらえないことでしょう。対応の一つは、CFSとFMについて他の人たちを教育することです。自分の疾患について他の人たちを教育すれば、もっと理解してくれるか、あるいは支持してくれるだろうと考えるならば、その人たちと話をするか、あるいは何か読むものを渡してください。アメリカCFIDS協会には “For Those Who Care” (「介護する方々へ」)(http://www.cfids.org/)というパンフレットがあり、我々のウェブサイト "Family and Friends" (「家族と友人」)欄に同様な資料があります。

我々のプログラムの一人の女性は、CFIDS協会のパンフレットを共有するのに、巧みなやり方で成功しました。彼女は、夫と成人した子供たちにコピーを渡し、彼女の一年後の誕生日プレゼントとして、それを読むように頼みました。このプロセス(過程)にはまる一年要しましたが、一つずつだんだんと、家族は彼女のCFSを受け入れるようになりました。

CFSとFMの人々は、自分の疾患について他の人たちを教育するのに、しばしば忍耐を必要とし、また、必ずしも成功するとは限らないと報告します。最終的には、ほとんどの人たちが、他の人たちを教育する取り組みに見切りをつけます。そして最も重要な人間関係に焦点を合わせ、一部の人々は決して理解してくれないか、あるいは同情してくれないということを認識します。一人が、「私はまだ教育しようと努力しますが、私は話を持ちかける人を選びます」と、だんだんとCFSについて他の人たちと話す時間を減らしてきたと報告しました。

もしあなたに就学年齢の子供がいるならば、あなたの置かれた状況は違ってきます。子供が、あなたが病気であることを知って、あなたの疾患を理解できなければ、子供はあなたが死んでしまうのではないかと恐れるか、あるいは、あなたが苦しんでいるので自分を責めるかもしれません。あなたの疾患について子供と話し合えば、子供は恐れを事実に置き換えることができます。 Julie Silver 医師が提案した四つのガイドライン(指針)を使うことを考慮してください。 1) 子供にあなたの疾患の名前を教えてください。 2) 疾患について何か説明してください(例えば、伝染するものとは考えられていない、誰のせいでもないなど)。 3) 疾患の予想される経過(まだ続きそうだけれども、管理しやすくなるだろうということ)を詳しく説明してください。 4) 疾患の影響の要点を述べ、子供に対するあなたの献身を信じさせてください。「私は病気だけれども、それでもまだあなたたちを愛しています。病気で活動は制限されるかもしれないけれども、自分ができることをするつもりです」と言って安心させます。

新たなサポート源をつくる

新たな関係を作ることは、人間関係のフラストレーションの強力な解決手段となることがあります。また、疾患による喪失と孤立をいくらか打ち消すこともできます。新たな友人に出会う良い場所の一つが支援グループです。(支援グループを見付けるアイデアについては、「支援ネットワークを構築する」の章を見てください)。今はインターネットを利用すれば、同じような経験ができます。インターネットのチャットルームと掲示板です。

どのように自分の実用的・感情的なニーズを満たすか考えるとき、あなたは、自分を助けることができる人々のグループを作ることを考慮してください。食料品の買い物、家の掃除、あるいは車の運転など、実用的な支援を申し出る者がいるかもしれません。また、レストランに行くかあるいは映画に行って夜を過ごすような、外出のための連れもいるかもしれません。また、耳を傾けてくれる、そして安心感を与えてくれる感情的な支援を申し出る者がいるかもしれません。いずれにしても、このさまざまなニーズを満たすための支援者を数人持つことは賢明です。そうすれば、一人や二人だけが過度に負担を負わず、そして疲れ果てません。

専門家の支援も同様に役立つかもしれません。同情的な心理療法士であれば、あなたは支援してもらえるだけでなく、あなたの置かれた状況について第三者の意見を述べてもらうことができます。もし興味があるならば、慢性疾患を持つ人々を相手に働くことを専門にする人を探してみてください。地元の支援グループにはしばしば豊富な手掛かりがあります。また、心理療法はカップルにも役立つことがあります。長期にわたる疾患を抱えた生活で生まれた緊張に取り組む場所を提供してくれます。

支援を受ける・他の人たちの役に立つ

他の人々はしばしば、我々の疾患に対して無力感を覚えます。他の人々に、やってもらうことを具体的に指示すれば、あなたは困難を切り抜けることができる一方、その人々にサービスできます。我々のプログラムの一人が言いました。「私が助けを求めるとき、明確な、実際的な言い方をすると、人々はしばしば大喜びします」。注意:全体的に他の人たちに多くを頼り過ぎる、あるいは特に一人に多くを頼りすぎることは、介護者の過度の疲労を引き起こす危険性があります。

他の人たちの役に立つと、自尊心を守ることができます。我々のグループのリーダーの一人が、「(チャットルームの)モデレーターをしていたとき、病気が重くて外の世界で多くのことを成し遂げられなかったときにもかかわらず、私が役に立っていると感じました」と言いました。また、他の人たちのために行動することで、その人たちにあなたとの関係を保とうという気にさせます。我々のグループの一人が、「相手にとって関係が貴重になるようにするため、私は何をしているか考えてみます」と言いました。

独りを受け入れる

重い病気はしばしば人々に、以前より多くの時間を独りで過ごすことを強います。制限と、人間関係の喪失に対応するための最後の戦略は、独りを受け入れることです。一人でいれば、新たに一人でする趣味を見いだす機会を得ることができます。一部の患者は、自分は人々とそれほど時間を一緒に過ごすことはないだろうと判断し、その状況を、以前の生活で十分に時間が取れなかった読書や手工芸品のようなことをするチャンスと考えました。例えば、我々のウェブサイトの JoWynn Johns の記事 “In praise of Solitude” (「独りを称賛して」)を見てください。

参考文献

CFIDS and Fibromyalgia Self-Help のウェブサイト: http://www.cfidsselfhelp.org/ 。 The Family and Friends (「家族と友人」)欄は Library のセクションにあります。「独り」に関する記事は、 Library の中の Coping Strategies (「対処戦略」)欄にあります。

Silver, Julie. “Chronic Pain in the Family,” Fibromyalgia Aware : May 2005: 40-42.

Spiegel, David. Living Beyond Limits. New York: Times Books, 1993.

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