慢性疲労症候群(CFS)入門

慢性疲労症候群 & 線維筋痛症とうまくつきあう方法

出典:Managing Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia: 2010 edition
on CFIDS & FIBROMYALGIA Self-Help

第27章 新しい生き方を創造する

長期にわたる疾患は疼痛、肉体的・精神的苦痛、喪失をもたらします。しかしまた、人生を見つめ直し、新たなやり方で人生を創り出す機会も与えてくれます。我々のプログラムの多くの人々は、CFSあるいFMにかかることを自ら望んで決めたわけではありません。しかし、彼らはその中から貴重な教訓を学んだと言います。以前の生活あるいは彼らが計画していた生活とは違う種類であるけれども、彼らは長期にわたる疾患を抱えて実りある生活を送ることが可能であると信じています。CFSあるいはFMになる前より、今の生活のほうが良いと言う者さえいます。

記事 “What Recovery Means to Me” (「私にとって回復とは」)を書いた Jowynn Johns は記事の中で、「徐々に、私は、おそらく以前の生活に戻ることができないだろうという考えを受け入れるようになりました」と、新たな生活をするという課題を、どのように認識し、どう対応したかを記述しました。彼女は回復するという目標を諦め、その代わり、CFSにかかる以前とは違う種類の生活を築き上げて、生活の質を取り戻すことを考えました。「かつて持っていたものを持つ必要性を諦め、過去の生活のやり方へ戻るという回復の考えを諦め、私は快適な生活を新たに築き上げました」

ふつう、この考え方の移行は徐々に起こります。しかし時々、たった一つの経験によって喪失の終わりをはっきりと悟ることがあります。我々のプログラムの一人の線維筋痛症患者が報告しました。彼女はある日、病気になる前の自分の活動的な生活について友人と話していて、彼女はかつてのように活動的でないことを受け入れざるを得なくなりました。彼女は病気になる前の自分の生活を、ハイキング、ロッククライミング、洞窟探検、クロスカントリースキー、バックパッキング、オリエンテーリング、スノーキャンピングをしていたと詳しく説明しました。友人は「はい、それは前世のことです」と返しました。彼女は、友人のコメントが、「私の頭の中で誰かが明かりをつけたよう」と言いました。「頭では喪失を受け入れて深く悲しんでいたけれども、私は何かが不完全のような気がしていました――突然、『それは前世のことです』が、私に以前の生活をしまうファイルを与えてくれました」

以下に、我々のプログラムの人々が使った、新たな人生を切り開くための幾つかの戦略があります。

利点に目を向ける

我々のプログラムの人々の意見は JoWynn と同じでした。彼らは、彼らなりのやり方を見付けて、新たな生き方を意義のあるものにします。取り組み方の一つは、病気になったことで生まれた利点に目を向けることです。我々のプログラムの一部の人々は、疾患にかかる前の自分より現在の自分を好むと言います。ある一人は言います。「たとえ自己喪失を深く悲しんだとしても、新しい私は、もっと親切で、もっと優しく、もっと思いやり深い人です」。別の一人は「実は、新しい私のほうが前の私よりずっと好きです。一緒にいてすごく楽しく、生活にいっそう満足しています」と述べます。

他の人たちは、現在、幾つかの点で、病気になる前より良い生活を送っていると言います。重要なことに集中する能力を持ち、人間関係に多くの時間をかけます。一人が書きました。「多くの点で、現在の生活のほうが病気になる前より良いです。自分にとって何が一番大切なのかを分かっています。それに昔ほどストレスがたまっていませんし……。線維筋痛症にかかっていること(それに関連することなど)に感謝すらしています。なぜなら肯定的な側面が否定的な側面よりもはるかに勝っているからです!」

新たな興味を見いだす

喪失に対する強力な解決手段は、新たな興味を見いだし、そこから目的意識と意義を見いだすことです。CFS と FM の一部の人々は、仕事や家庭で忙しくて忘れていた芸術、工芸などの趣味を再び始める機会を得ます。新たに使用できる時間を利用して、彼らは、新しい活動を始めるか、あるいは以前のもっと忙しい生活で中断していたプロジェクトを再開します。

他の人たちは、自分の疾患にやりがいを感じ、疾患を理解しようとすることと、コントロールできる範囲を広げようとすることに目的意識を見いだします。ある人たちは、他の人たちの役に立つことに意義を見いだしました。支援グループに参加する、あるいは非公式に支援を申し出ることで実現できるかもしれません。また、ある人たちは患者団体を作り、CFS と線維筋痛症の幅広い理解と研究費のためにロビー活動をしています。皆、何を選択したとしても、新たなやり方によって人生に意義をもたらしました。

人生に意義をもたらす一つの方法は、現実的で、それでもまだ肯定的な方法で自分の生活を再び構成することです。例えば、我々のプログラムの一人の女性が書きました。「私は以前の私ではありません。おそらく、自分が思い描いていたような生活を送らないでしょう。しかし、私が回復するかしないかにかかわらず、現在、人生に可能な限り多くの意義をもたらそうとし、私自身の変わっていない中核となる性質を重んじようとしています。他の人々にまだ影響を及ぼしていると、自分に言い聞かせようとしており、そして、彼らの人生にまだ貢献できます」

能力に合わせて目標を調整する

できないことより、できることに注目してください。そして自分の成果を喜んでください。これを、期待を「新しい基準」に調整するといい、病気の人だけでなく、家族全員に当てはまります。

一例は、 Patti Schmidt の記事 “Coming to Terms with a Life I Didn’t Plan” (「予想しなかった生活を受け入れる」)です。彼女は、CFSにかかったあと、どのように生活を再構築したかを説明します。彼女は、疾患によって生活が取り消すことができないくらい変わってしまったことを認めたあと、問題が残されたと書きます。「さて、どうしよう?」。彼女は、忘れ去らなければならない大切な物事が幾つかあることを受け入れるため、考え方をいくらか変えました。しかし、それでもなお、彼女にとって大切な物事があったということを認識しました。一つは、家族。もう一つは、世の中に何らかの貢献をする能力です。彼女は、できないことではなく、できることに焦点を合わせることに決め、自分の能力に合わせて目標を調整することにしました。

いつも感謝する

CFSあるいはFMの一部の人々は、感謝のレンズを通して自分の疾患を見ることが役立つと分かります。恵まれている点に焦点を合わせ、自分の疾患を恩恵と考えます。感謝の日記をつけるメリットを振り返って、 Joan Buchman は、日記をつけている間に「私が今ちょうど持っているものを大事にすること」を学んだと書きました。感謝の日記によって、病気になる前に彼女はそのことを認識しました。「私は幸せと安らぎへの道を歩んでいませんでした。FMSのおかげで、充実した有意義な生活を送るために本当に大切なものを知る機会を得ました」

彼女にとって感謝はいつも、明るい側面を見る、あるいは痛みと苦しみを否定するということではありません。正確に言えば、彼女にとって感謝は、「持っているものをありがたく思うこと、それを最大限活用することです。前に想像したより、自分の生活に対してもっと力を持っていると知ることです」。(彼女の記事 “The Healing Power of Gratitude” (「感謝の治癒力」)を見てください。別の記事 “Counting Your Blessings: How Gratitude Improves Your Health” (「恵まれている点に目を向ける―感謝はどう健康を改善するか」)は、感謝に関する科学的研究を要約します)

喜びと楽しみ

あなたがしなければならないと思うことと、疾患が課した苦痛の間で、良い面を生活からそっと取り出すのは容易です。しかし、我々は皆喜びと楽しみを持つべきです。もし楽しみにしていることがあれば、重要な点で自分を助けるカギとなります。有意義な体験を楽しめばストレスが軽減され、それが喜びに換わって、プラス思考の自尊心が生まれます。

楽しい経験には、運動、笑うこと、入浴すること、音楽を聴くことあるいは演奏すること、肉体関係、などの身体的な喜びがあります。あるいは、庭を手入れすること、絵を描くこと、工芸品を完成すること、などの楽しみと満足もあります。また、自然の美しさを楽しむこと、本を読むことからくる精神的な喜び、あるいは瞑想・祈りの精神的な充足があります。

一人の女性が、一人でいると芸術鑑賞への新しい道が開けるということに気づきました。彼女は言いました。「なじみの文学と新しい文学。部屋にある絵・木彫・陶器。版画・写真・コピーの絵画、本と雑誌で勉強する編み物。音楽……に対して私は心から反応します。気を散らされることなく一人でこれらの作品を体験すると、作品が私の心を強く打ち、物の見方を一変させ、想像力を掻き立てることに気づきました」

役に立つモデルを見付ける

我々のプログラムの人々は、長期にわたる疾患の生活に積極的に適応したCFSとFMの人々に出会ったあと、自分たちの適応が進んだと報告します。このような人々は適応に成功するためのひらめきと実用的なアイデアを提供してくれます。また、自分を健康な人々と比べるより、CFSとFMの他の人々と比べるほうがいっそう適切です。

他の人たちを教育する

もし家族と友人があなたの能力に旧態依然として非現実的な期待を抱いているならば、新しい生活をするのは困難です。家族と友人に自分の疾患と制限について教育することは、積極的な適応をするための一つの基盤です。我々のウェブサイトの Family and Friends ページの記事で説明するように、家族全員が「新しい基準」を受け入れなければなりません。

参考文献

JoWynn Johns、 Patti Schmidt、 Joan Buchman の記事については Success Stories を見てください。感謝についての研究の記事は Coping Strategies を見てください。

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第26章 喪失を深く悲しむ  CFS & FMとうまくつきあう方法
目次
 第28章 自主管理者になる

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