慢性疲労症候群(CFS)入門

慢性疲労症候群 & 線維筋痛症とうまくつきあう方法

出典:Managing Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia: 2010 edition
on CFIDS & FIBROMYALGIA Self-Help

第28章 自主管理者になる

CFSや線維筋痛症のような長期にわたる疾患では、あなたは、急性疾患のときとは異なる役割を持ちます。短期間の疾患ではしばしば、解決策の提供を医師に頼るか、あるいは疾患は自然に治ります。しかし、これまでのところCFSも線維筋痛症も治療法が全くありません。治療できない慢性疾患は、管理が必要です。

管理者とは決定を下す責任を負う人です。あなたは自分の慢性疾患の専門家です。他の誰よりも自分の状況をよく知っていて、CFSあるいは線維筋痛症について主治医よりもよく知っているかもしれません。あなたは自分の疾患の日々の管理者です。あなたの決定と生活の送り方は、症状と生活の質に大きな影響を与えるでしょう。

自主管理は、一連のスキル(技能)を使うことを必要とします。以下に、特に役立つ六つのスキルがあります。(これらのうち二つは次の二つの章で詳細に論じます)

疾患について学ぶ

自主管理者としてあなたがすべき作業の一つは、慢性疲労症候群と線維筋痛症に関する情報を集めることです。自分の疾患と、利用可能な治療とライフスタイルの選択肢について、できる限り多くのことを学びます。一般的な情報源の幾つかには、アメリカCFIDS協会、米国線維筋痛症協会などの患者組織、インターネット、支援グループ、書籍と会報があります。

すべての情報をより分けて調べるには数が圧倒的だと思うかもしれません。その作業を扱いやすくする二つのアイデアがあります。第一に、あなたが聞く主張が信用できるかどうか尋ねてください。一部の人々は患者の絶望を食い物にします。回復を約束する人々(特にその約束が高くつくならば)を疑ってください。信頼できる専門家のほとんどは、これまでのところ、どちらの疾患も治療法がまったく開発されていないと考えています。試行するのをいとわないください。しかし、治療にどんなリスクが伴うのか、コストに見合う進展があるのかどうか尋ねてください。第二に、疾患についての学習を進行中の作業と考えてください。ただし、自分の活動に制限を設けます。新たな進展は時々起こりますが、飛躍的な進展はまれです。最初の熱心に学習していた時期のあとは、おそらく、一つか二つの会報あるいは雑誌を読んで新しい考えについていくことができるでしょう。(会報、団体、インターネットサイト、書籍の詳細については、我々のウェブサイトの記事 “Educate Yourself” (「疾患について学ぶ」)を見てください)

目標を達成する

もう一つの自主管理者のスキルは、目標を設定し、それを達成する能力を持つことです。プログラムで我々が目標に達成するために使う戦略は、ターゲットセッティングです。それは、1つの目標をいくつもの小さな、現実的なステップ、すなわちターゲットに変換するのを必要とします。我々がこの用語を使うとき、ターゲットとは、近い将来(たいてい1週間)に、あなたが現実的にやり遂げると思える一連の詳細な行動です。ターゲットには二つの特徴があります。詳細である(具体的かつ測定可能)、そして現実的(実行可能)であることです。次章で、ターゲットを設定する段階的な説明をします。

自分自身をよく知る(内省)

あなたは自分の疾患の重要な情報源で、おそらく、最も重要なものでしょう。内省を使い、自分の症状を悪化させるものは何か、体調を良くするものは何か学ぶことができます。そして、その知識を使えば、症状を悪化させるものをより少なくし、気分を良くするものをより多くし、生活の質の向上を図ることができます。

内省から学ぶ力は、記録をつけると大いに高められます。健康日記あるいは健康ログ(日誌)をつければいくつものパターンが明らかになり、自分の行動と症状の間の関連が分かります。このような記録管理に1日数分以上かけるべきではありません。ログの実例と、記録のしかたの詳細については、第30章を見てください。

試行

何かを見付けるために試行錯誤を重ねることは、自主管理を成功させるもう一つの重要なスキルです。CFSあるいはFMは、治療に一貫して効果のある薬がないので、おそらくあなたは、自分に役立つ薬を見付けるために試行しなければならないでしょう。試行は、ライフスタイルの変更にも用いられます。例えば、どれくらい運動を許容できるか、どれくらい遠くまで車を運転できるか、どれくらい長くパソコンで作業ができるか確定するために試行錯誤します。

先述しましたが、重度のCFSを持つ女性がさまざまな休息のパターンを試みて、彼女の1日に有意義な時間を追加しました。彼女は我々のクラスを受ける前、3時間の休息を2回取っていましたが、試しに各1~2時間の短い休息を取りました。彼女はこの新しい休息スケジュールを使って、症状を増やすことなく、合計6時間の休息時間を半分の3時間に減らしました。

他の人々は、時間帯に対して敏感であることによって、仕事の量を増やし、質も高めました。ある女性は、精神活動をするのに最も良い時間帯が午後だと気づきました。彼女がその時間帯に勉強したところ、午前の2倍の時間読書ができ、しかも理解度が高くなりました。

考えを再構成する

CFSあるいはFMを抱えてうまく生活するには、我々の行動だけでなく、我々の考えも変える必要があります。そこで、もう一つのスキルは心的適応をすることです。例えば、健康であったときの活動レベルと今の活動レベルを比較して、ほんの少ししかできないことに罪悪感を持つならば、あなたは自分の期待を調整する必要があるかもしれません。我々のプログラムの一人の女性は、カウンセラーに手伝ってもらったと報告しました。カウンセラーは彼女に「自分にそんなに厳しくするのはやめて、自分が哀れでも、役立たずでも、そして弱くもないことを受け入れる。しかし、病気にだいぶうまく対処していて、さまざまな問題があるにもかかわらず実際はかなり生きがいのある生活をしている」と言いました。

関連する心的適応に、心の中のつぶやき、すなわち自分との対話を変えることがあります。あなたが経験を否定的に解釈する傾向があるならば、落ち込んでいるか、あるいは病気が悪化したとき、自分を元気づけるように、現実的に独り言を言うように自身を訓練することができます。また、何がうまくいっているか気づき、自分の成果について喜ぶことによって、あなたの全体的な精神的風土を変えることもできます。肯定的なことにピントを合わせるのは、問題を否定することにも症状を無視することにもなりません。しかし、途中で元気を出したり、成功を病状の改善が可能だという兆候と思ったりすることにはなります。このトピックの詳細については、第31章と、我々のウェブサイトの記事 “Optimism, Hope and Control” (「楽観主義、希望とコントロール」)と “Counting Your Blessings: How Gratitude Improves Your Health” (「恵まれている点に目を向ける―感謝はどう健康を改善するか」)を見てください。

問題解決

問題解決は最上のスキルです。生活で生じる問題に対処するための体系的な方法を与えてくれます。これは4ステップのプロセス(過程)とみなすことができます。

1) 問題を選ぶ

最初のステップは、自分にとって重要で、そして現在改善に取り組む準備ができていると思う、あるいは取り組まずにはいられないと思う問題を確認することです。問題はふつう、生活に支障を来したり、生活をいっそう困難にしたり、自分にとって重要なことをするのを妨げたりするものです。以下に二つ例を示します。

2) 可能な解決策をリストにして評価する

2番目のステップで解決策を検討します。できるだけ多くの可能な解決策をリストにすることから始めてください。しばしば、問題には複数の原因があるので、さまざまな解決策の組み合わせが適切かもしれません。リストにしたあと、それぞれ選択したものの長所と短所を検討し、それから、最もうまくいくと思う解決策を最上位にして、ランクづけします。以下に、2番目のステップを我々の例で説明します。

祝日のお祝い :祝日のジレンマの解決策は次の通りです。お祝いを主催するが、他の人たちにそれぞれ食べ物を持って来てもらう。親族の人たちの間でお祝いを回り持ちする。レストランで祝日の食事を主催する。

それぞれの解決策は、自分と家族が祝日のお祝いの仕事をどう担当するか検討・修正することが必要です。おそらく、何度か親族間で話し合わなければならないでしょう。あなたは自分の制限と援助の必要性についてはっきり物を言う必要があるかもしれません。心理的な適応もあります。祝日の主催者としての役割を断念することは、より幅広い喪失の経験のほんの一部に過ぎません。

家事 :あなたは、かつてのやり方で家事ができません。一つの可能な解決策は、1日ですべてをするのではなく数日に分けて家事をすることです。あるいは、すべての家事を1日でするけれども、 頻繁に休憩時間を取って、細かく分けてします。

もう一つ可能な解決策があります。それほど頻繁に掃除しないことです。(FM を持つある女性は、今では埃(ほこり)も「私の家具を保護する」ものと見なすと書きました)。祝日のお祝いの解決策と同じように、これは、何が適切かというあなたの考え方を変える必要があります。その他の解決策は、他の人たちの手を借りることです。あなたは、家族に仕事を分担するように頼むかもしれません。例えば、子供は自分の部屋を掃除し、自分の衣服を洗濯することができるでしょう。あるいは清掃サービスを雇うことだってできます。

最後の可能な解決策は、もっと小さな家に引っ越すことです。家の掃除を一般的に、どうして家事が大きくなりすぎたのかという一例として考えたのなら、あなたは、より維持しやすい家に引っ越して自分の生活を簡単にしようと考えるかもしれません。我々のグループの人たちはこれらすべての戦略を使います。

3) 解決策を試す

3番目のステップは、さまざまな解決策を実際にやってみて、その結果を評価します。おそらく、有力な解決策はうまくいかないでしょう。しかし他のものがうまくいくかもしれません。以下に、3番目のステップの結果を、我々の例で示します。

祝日のお祝い :あなたは夫と子供たちに祝日の新たな分業について話します。今年、行事をそれほど意欲的に行わないことで合意します。しかしながら、親族は賛同しません。彼らは今まで一度も、あなたが本当に病気であると信じたことがありません。夫とは少なくとも1年間、家族の祝賀行事を主催することで合意します。夫と子供たちで料理を分担します。親族全員が受け入れる祝日の新たなルーチン(いつもの手順)が落ち着くのに数年かかるかもしれないと、あなたは結論づけます。また、親族の幾人かがあなたの制限を決して受け入れないかもしれないと判断します。家族の中で以前の自分の役割がなくなったことを受け止めるために、支援グループに加入して、線維筋痛症にかかった他の人たちと話すのが助けになると思います。

家事 :支援グループの友人たちと話し合ったあと、あなたは戦略の組み合わせを試すことに決めます。子供たちに、自分たちの部屋を掃除し、自分たちの衣類を洗濯するように頼みます。また、自分がする掃除の量を減らすことに決めます。それほど丁寧に掃除するのでなく、1年に2回専門家に家を掃除してもらいます。他の患者に勧められて、あなたは「維持する」能力の喪失について、自分の考えや思いを探るために日誌をつけることにします。

4) 結果を評価する

試行の結果を評価してください。成功する試みもあれば、そうでない試みもある可能性があります。完全にうまくいく解決策がなくとも、部分的にはうまくいく解決策があるかもしれません。最終的な解決策は幾つかのやり方の組み合わせかもしれません。自分の取り組みを試行の連続と見れば役立つかもしれません。そう考えれば、あなたは失望を深めることなく、他の試行に取りかかることができます。場合によっては、問題は解決不可能であるか、あるいは現在のところは解決できないのかもしれません。

要約

問題解決を使っているときに覚えておくべき幾つかの原則があります。

参考文献

CFIDS and Fibromyalgia Self-Help のウェブサイト: http://www.cfidsselfhelp.org/ 。楽観主義と感謝に関する記事は Library ページの Coping Strategies にあります。


第27章 新しい生き方を創造する  CFS & FMとうまくつきあう方法
目次
 第29章 目標とターゲット

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