慢性疲労症候群(CFS)入門

慢性疲労症候群 & 線維筋痛症とうまくつきあう方法

出典:Managing Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia: 2010 edition
on CFIDS & FIBROMYALGIA Self-Help

第29章 目標とターゲット

自主管理者のスキル(技能)の一つとして目標を達成する能力があります。目標を達成するために我々がプログラムで使う戦略は「ターゲットセッティング」です。これは1つの目標をいくつもの小さな、現実的なステップ、すなわちターゲットに変換します。(他の自助プログラムもこの技術を使いますが、彼らは「縮小する」あるいは「行動計画を立てる」のような違う名称で呼ぶかもしれません)

ターゲットセッティングは三つのステップから成ります。まず、現実的な短期計画を作り、それを実行し、その結果を評価します。

計画を立てる

ターゲットは二つの特徴を持ちます。明確、そして現実的です。「明確」とは、ターゲットが具体的で、測定可能であることを意味します。例えば、「私はもっと休息を取りたい」と言うのではなく、「私は翌週4日、午前中遅く15分休息します」と言います。計画を作るとき、あなたは次の質問に答えなければなりません。

ターゲットが「現実的」であるかどうか試すために、宣言したとおりターゲットをやり遂げられる自信がどれくらいあるか考えてみてください。0を「全く自信がない」、10を「完全に自信がある」として、0から10の間の数字で自信度を答えてください。自信度は、ターゲットをどれくらい成し遂げられるかの値ではなく、ターゲットを「全部」やり遂げられるとどれくらい確信しているか見積もります。

答えが8以上であるならば、成功する可能性が十分にあります。自信度が8より低いならば、それほど欲張らない条件で目標を再び宣言してください。例えば、1週間に休息する回数を毎日から4、5日に減らせば成功する可能性が高まります。また、運動のターゲットでは、運動する時間を15分から10分に減らします。

自信度が低ければ、目標の達成を困難にしているものは何か突き止めて、代案を考えます。例えば、あなたが外で運動したいならば、悪い天気がそれを困難にするかもしれません。問題となる可能性がある事柄を把握すれば、解決策を思いつくことができるかもしれません。悪い天気の日に運動する代案は、ショッピングモールの中を歩くか、あるいは家の中でエクササイズ・ビデオを使うことかもしれません。代案を考えたら、あなたは自分の自信度が変わったか考えてみることができます。答えが8以上になったらこのプロセス(過程)を止めてください。これは、あなたが、宣言したとおりにターゲット全体をやり遂げることができる自信をかなり持っていることを意味します。

さらに別の2、3のアイデアを心に留めておけば、成功する可能性がより高くなります。第一に、ターゲットは、自分がしたいことであるべきです。他の人たちが望むことでも、自分が「するべき」と思うことでもありません。第二に、1週間に一つのターゲットを設定することから始めてください。これはあなたにターゲットセッティングの使い方を学ぶ機会を与えるためです。新しいスキルを身につけるには時間がかかります。ターゲットセッティングの目的は、疾患を管理することで、自分が積極的な役割を果たす経験をするのを手伝うことです。第三に、あるがままの自分を受け入れて、少しの変化を目指すことから始めてください。あなたがそうするならば、成功する可能性が高くなり、積み重ねた成功はあなたの自信を高めるでしょう。

ターゲットを実行する

計画を策定したら、それを書き留めてください。我々は、三つのセクションに分かれた Target Form 「ターゲット用紙」を使います。この用紙の印刷可能なバージョンはリンクをクリックしてください。我々が使うすべての用紙は、我々のサイトの Logs, Forms and Worksheets のページで入手できます。

“My Target” (私のターゲット)と記されたセクションにあなたのターゲットと自信度を書いてください。あなたの意図を文書にすることは宣言を強化するのに役立ちます。自分が最後までやり遂げられるようにする別の方法には、他の人にあなたの計画について話すこと、冷蔵庫のような、あなたがよく目にする場所にターゲットを貼りつけることなどがあります。

週が進むにつれ、用紙の2番目のセクション “Results” (結果)に必要事項をすべて記入して、あなたの試みを記録してください。このスペースを使って、あなたがしたこと、起こったどんなことも書き留めてください。経験を文書にすることは、自分で責任を負い、したがって成功の機会を増やす良い方策です。

結果を評価する

1週間の終わりに、ターゲットの達成にどれくらい成功したか考えてみて、結果を評価してください。ターゲットセッティングで最もよくある失敗は、「何をするのか」「どのくらいか」「いつか」「どれくらいの頻度か」が「明確」でないこと、そしてあまりにも「欲張る」ことの2点です。後者の解決策は、あなたの自信度が0から10のスケールで少なくとも8あるかどうか考えてみることです。

たとえターゲットがうまく宣言されて、現実的のように思われたとしても、あなたはまだ失敗を経験するかもしれません。おそらく、疾患の予知不可能さが、計画どおりにターゲットをやり遂げようとするのを阻止するでしょう。あるいは、あなたはターゲットが現時点では現実的でないと判断するかもしれません。しかし、結果がどうであれ、あなたはその試みから何かを学ぶことができます。結果に関係なく、あなたが何か肯定的なことを得るのを助けるため、用紙の “Lessons” (学んだこと)のセクションにすべて記入してください。

ターゲットセッティングを一連の試行と考えれば役立つこともあります。ターゲットを達成すれば、あなたは予想どおりうまくいったことになり、疾患をいくらかコントロールできます。結果が期待と違っていたならば、自分の経験を思い起こして、疾患について何か有益なことを学ぶことができます。

ターゲットの実例

実際、生活のどんな領域でもターゲットを作ることができます。以下に我々のプログラムの人々が使ったいくつかの実例を示します。

午前中遅くと午後の中頃、それぞれ20分間休息する
予定した休息を取る(休息を予定して、計画的に休息する)ことは我々のグループの人々が使う最もよくあるターゲットです。休息の詳細については、ペーシング戦略の章を見てください。

午後10時までに就寝する
このターゲットを設定した人は、だんだん夜更かしするようになって、正常なルーチンを取り戻そうとしました。

30分経ったらパソコンをやめる
何かをしないように、あるいは、どれくらいするか制限を設けるためにターゲットを設定できます。

保育を手伝ってもらう子守を見付ける
このターゲットを設定した女性もその娘もCFSにかかっています。この母親は、週に数回、誰かに来てもらうことで、娘に話し相手ができるし、自分は自由に使える時間ができると考えました。

妻と関係について話し合う
このターゲットを設定した男性は、自分の疾患が妻に課した追加の責任が心配で、CFSが作り出したすべての不安にどのように二人で対処できるだろうかと思っていました。彼はこのことをクラスに公約し、ずるずると先延ばしにしてきた話し合いをやっとする気になりました。

本を読んで楽しむ
このターゲットは、家族や疾患の要求によって、自分の生活からすべての楽しみが搾り取られてしまったと思った女性が使いました。楽しいことを予定するのは矛盾していると思われるかもしれませんが、これはうまくいきました。

ある一人の体験

我々のプログラムの一人の女性が行った初めてのターゲットセッティングの体験を見てみましょう。この女性は、自分の症状を軽減する方法として、予定した休息時間のアイデアに魅力を感じました。静かな場所で目を閉じて横になる休息のアイデアを用いて、彼女は、1週間、毎日午後に15分休息するターゲットを設定しました。彼女はターゲットを設定するとき四つの質問に答えました。何をしようとしているのか(休息)、どのくらい(15分)、いつ(午後)、どれくらいの頻度か(毎日)、を定義しました。

次に彼女は、宣言どおりにターゲットをやり遂げられる自信がどれくらいあるか考えてみました。彼女の自信度は6でした。彼女は毎日できる自信がなかったことに気づき、毎日ではなく4日を目指すようにターゲットを変更しました。この欲張らない目標で、彼女は自信度を8と評価しました。彼女はターゲットを次のように書き直しました。

何を
どのくらい
いつ
どれくらいの頻度で
自信度
休息
15分
午後の中頃
次週に4日
8

彼女は、月曜日の午後に15分間休息して、無事に週を開始しました。彼女は元気に満ちて起き上がり、頭にかかったもやもそれほどありませんでした。火曜日、彼女は予定どおり横になりましたが、電話が鳴って数分後に起き上がりました。電話は友人からで、30分話をしました。電話が終わって、彼女はその日の休息を諦めました。水曜日、彼女は電話のプラグを引き抜いてから横になりました。休息の間に電話がありましたが、留守番電話に任せました。彼女は休息によってさわやかな気分で起き上がりました。

木曜日、彼女は午後の中頃に幾つかのお使いをして、昼寝を試みませんでした。彼女は金曜日に休息しましたが、起き上がったら具合が悪くなっていました。娘の学業の進展のことで頭がいっぱいでした。休息の間、心配事で彼女の頭の中はぐるぐる回っていました。結果、横になっているとき全く心が休まりませんでした。

彼女が「ターゲット用紙」の “Results” (結果)に記入した項目は次の通りでした。

月曜日
火曜日
水曜日
金曜日
休息後、体調が良くなった
休息をやめて電話に出る
電話を無視する
心配事で、休息後に具合が悪くなる

最後に、彼女は休息の体験を評価しました。彼女はターゲットをほとんどやり遂げたことを喜びました。彼女は3日間15分の休息をして、4回目も少し休息をしました。彼女は、この体験で十分に分かりました。休息することは価値があるということです。彼女は、少なくともちょっとの休息でエネルギーが増し、休息によって疾患をコントロールできるかもしれないという感じを得ました。

金曜日の休息を妨げた心配事に対応するのに、彼女はリラクセーション法を耳にしたことを覚えていて、休息の間にそれを実践してもよいかどうか考えてみました。彼女はこれを実践することは、体と同様に心を休める助けとなり、心配事が減るかもしれないと考えました。彼女は「ターゲット用紙」の “Lessons” (学んだこと)に次のように書きました。

  休息することは役立つ。休息の一環としてリラクセーション法を試したい。

始める

さあ、あなたの番です。あなたを悩ませている問題を考えてください。一つだけ選んで、今日スタートすると約束してください。その次に、幾つかの可能な解決策をブレーンストーミングで引き出してください。問題を減らすものか、あるいは問題を解決するものです。それらを再検討したあと、次週にトライする一つを選び出して、四つの質問(何を・どのくらい・いつ・どれくらいの頻度で)に答えるターゲットを書き留めてください。

ターゲットを始めたら、あなたが最後までそれをやり遂げられる自信がどれくらいあるか考えてみてください。あなたの自信に、0(全く自信がない)から10(完全に自信がある)の間の数字を与えてください。あなたの自信度が8より小さければ、それほど欲張らない条件であなたの目標を再び宣言してください。ターゲットを設定し、それを成し遂げられると思うならば準備完了です。ターゲットを1週間やってみて、それからその結果を調べてください。ターゲットをやり遂げたならば、喜んでください。もしそうでなかったら、この体験から何を学ぶことがでるか考えてみてください。

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第28章 自主管理者になる  CFS & FMとうまくつきあう方法
目次
 第30章 ログ、ワークシート、規則

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