慢性疲労症候群入門

慢性疲労症候群 & 線維筋痛症を管理する方法
出典:Managing Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia: 2010 edition
on CFIDS & FIBROMYALGIA Self-Help

第4章 不眠症を治療する

睡眠不足は、CFSを持つ人たちと線維筋痛症(FM)を持つ人たちのほぼ全員の問題です。不眠症には、なかなか寝つけない、真夜中あるいは朝早くに目が覚める、寝過ごすなどがあります。睡眠時間の多い少ないにかかわらず、睡眠を取っても通常元気が回復しません。つまりCFSを持つ人たちとFMを持つ人たちは元気になって目が覚めるのではなく疲れて目が覚めます。CFSやFMが原因の不眠症のほかに、CFSを持つ人たちとFMを持つ人たちの大多数が、睡眠時無呼吸や下肢静止不能症候群といった睡眠障害を経験します。

不眠症を治療することは生活の質を向上させるとともに、他の症状を減らすことができるので、不眠症に取り組むことは症状管理の良い出発点となります。もし睡眠不足に悩まされているならば、以下の三つの取り組み(睡眠衛生の改善、薬の使用、睡眠障害の治療)から選んだ戦略を組み合わせて睡眠管理計画を立てることを検討してください。

睡眠衛生(睡眠環境と睡眠習慣)

睡眠は、不規則な生活、雑音のある環境、緊張と心配、寝心地の悪いベッド、そばに寝ている配偶者の騒音などで妨げられます。より良い睡眠のための出発点は、これらのような睡眠衛星の側面に取り組むことです。

1. 心地よい睡眠環境をつくる。良いマットレスを使い、光・騒音・温度をコントロールし、質の良い睡眠に役立つ環境をつくってください。(注記:騒音はあなたのそばに寝ている配偶者のいびきを含みます。CFSを持つ人たちあるいはFMを持つ人たち中には配偶者と別の寝室で眠る人もいます)

2.日課にする。毎晩同じ日課をこなし、一貫して就寝時間を守ってください。就寝時間の数時間前から徐々に活動を減らし、毎晩同じ時間に一貫してこなす日課を持って睡眠の準備をしてください。日課は、例えば、決められた時刻にパソコンから離れて、テレビを消し、入浴して、歯を磨いて、そして読書するというようなものかもしれません。これらの睡眠習慣は、あなたがくつろぎ、心理的に睡眠の準備をするのを助けてくれます。

3.リラックスする・気をそらす。寝入るのが難しいと思ったなら、静かな音楽を聴くか、あるいは呼吸の回数を数えたり、呼吸を見詰めたりするなど何かほかの方法で気をそらすことを考えてください。

4. ストレスと心配事をコントロールする。ストレスはしばしば筋肉の緊張を引き起こし、寝入るのをより難しくします。筋弛緩法を実践することにより、緊張した筋肉を和らげることができます。就寝前に、筋弛緩法を試してみたり熱い風呂につかったりしてみてください。(我々のウェブサイトの Library にある Stress Management [ストレス管理]の記事に筋弛緩法の例があります)

心配事で頭がいっぱいで寝入るのに苦労するならば、毎晩就寝前に「心配事の時間」を設けることを考えてください。心配事全部とそれらにどう対処するかについて書き留めてください。眠ろうとしているときに心配事が現れたら「私はもうそれに対処しました。どうするか分かっているので心配する必要はありません」と自分に言い聞かせます。あるいは、心配事に対処する時間を次の日に取っておくことができるので「私はすでに明日、それに対処する時間を取ってあります」と自分に言い聞かせます。

5. 同じ時間に起床する。就寝するのが日に日に遅くなっていくならば、目覚まし時計をセットして毎朝同じ時間に起床すると、より正常な睡眠時間に戻るように徐々に調整することができます。ふつうは、就寝時間をより早い時刻に変更して睡眠時間を補う必要はないでしょう。体が自然に調整してくれます。

6. ペーシングを使う。日中あるいは夕方に活動し過ぎると、“Tired but Wired”(疲れているけど興奮している)という落ち着かない感じと疲労感が組み合わさった状態になることがあります。解決法は、活動を制限内に保ち、くつろぐ時間を就寝前に作ることです。

7. 昼間のうたた寝を制限する。よく、昼間のうたた寝が夜間の睡眠を妨げることがあります。日中うたた寝をして夜寝入るのに苦労する、あるいはうたた寝をするといつもより睡眠の質が悪くなるというのであれば、夜だけ眠ることを考えてください(反対に、うたた寝をしても夜間の睡眠がじゃまされないならば、もっと睡眠が必要かもしれません)。

8. カフェインやアルコール、タバコを避ける。カフェインの過剰摂取、飲酒、喫煙は、ぐっすり眠るのをより難しくします。就寝前の数時間は、コーヒー、紅茶、清涼飲料、チョコレートなどのカフェインが入っている製品を飲食するのを避けてください。就寝時間前の飲酒は避けてください。アルコールを摂取すると浅くてむらのある睡眠になることがあります。タバコに含まれるニコチンは興奮剤です。つまり喫煙は人が寝入るのを妨げます。

CFSを持つ人たちや線維筋痛症を持つ人たちの不眠症を解決するのに有効であると判明したたった一つの薬がないため、薬で睡眠を治療するのはやりがいがあります。また、多くの患者は薬物耐性が発現し、やがて薬の効果がなくなっていきます。この二つの理由から、睡眠の問題には柔軟でさまざまな戦略を利用する実験的な手法が役に立ちます。

もし薬で睡眠が改善されるかもしれないと思うなら、処方箋なしで手に入る製品から始めてください。これにはメラトニンやカノコソウ根、抗ヒスタミン薬のベネドリルとタイレノールPM といった市販薬があります。処方薬のほうがよければ、妥当なやり方は自分だけの状況で何が役に立つか見付けるために協力して働いてくれる医師を見付けることです。よく二つの薬が組み合わされて処方されます。一つは寝入るのを助け、もう一つは睡眠を維持します。睡眠問題を治療するために医師が一般に処方する薬は寝入るのを助ける Sonata (ザレプロン)と Lunesta (エスゾピクロン)、そして睡眠を維持するのを助ける Flexeril (シクロベンザプリン)、 Zanaflex (チザニジン)、 doxepin elixir、 Elavil (アミトリプチリン)、 Desyrel (トラザドン) などです。

薬は睡眠を改善できる一方、事態を悪化させることもあります。一部の睡眠薬は時々使えば効果がありますが、頻繁に使えば睡眠不足を引き起こすことがあります。また、朝にふらつき感のような副作用を引き起こす薬もあります。もし他の治療のために服用している薬に抗ヒスタミン剤あるいはカフェインのような成分が含まれているなら、その薬が睡眠を妨げるかもしれません。

睡眠障害を治療する

CFSを持つ人たちとFMを持つ人たちの大多数が一つ以上の睡眠障害があります。それらを治療すればCFSやFMの症状に劇的な効果があります。睡眠衛生を改善しても、薬を使っても睡眠が改善されなければ、主治医に睡眠専門医を紹介してもらうことを考えてください。睡眠専門医ならば睡眠障害があるか調べることができます。最もよく見られる睡眠障害は、睡眠時無呼吸と下肢静止不能症候群(むずむず脚症候群)の二つです。

睡眠時無呼吸は、文字通り呼吸がないことを意味しており、眠っている間に人の気道がふさがれて、呼吸が止まって起こります。症状の発現は数秒から数分まで続くことがあり、そのとき人は目が覚めて空気を求めてあえぎ、再び眠りに落ちます。しかしふつうはそのことに気づきません。この繰り返しは、朝に人を疲れ果てた状態にするくらい一晩に何度も起こることがあります。睡眠時無呼吸はCFSを持つ人たちや線維筋痛症を持つ人たちの疲労感を強めます。

睡眠時無呼吸は治療可能な疾患です。治療にはCPAP(持続的気道内陽圧呼吸)がよく使われます。患者は、コンプレッサーが継続的な気流を送り込むマスクを装着して、気道を確保し、それで途切れない睡眠が可能となります。CPAPの使用で睡眠時無呼吸を90%から100%取り除くことができます。この疾患に対しては別の治療法も使われます。朝、過度に疲れているか、あるいは日中眠くて困っているならば、睡眠時無呼吸がある可能性があります。

下肢静止不能症候群(RLS)は「落ち着きがない両脚」を伴います。脚筋に強い違和感を覚えて、両脚を動かそうという衝動に駆られます。最悪なことにそれはしばしば夜に起こります。役に立つかもしれない自己管理テクニックは、カフェインなどの興奮剤の摂取量を減らす、規則正しい睡眠パターンを確立する、両脚を使う運動をする、活動に没頭して気をそらす、温浴・冷水浴あるいはシャワーを使う、サプリメントを取って鉄・葉酸塩・マグネシウムの摂取不足をなくすなどです。幾つかのカテゴリーの薬、例えば、鎮静薬、ドーパミンに作用する薬、鎮痛薬、抗痙攣薬なども役に立つかもしれません。一般に、RLSの治療に使われる薬は Requip (ロピニロール) と Mirapex (プラミペキソール)の二つです。

更新日:2018年4月1日

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