慢性疲労症候群(CFS)入門

慢性疲労症候群 & 線維筋痛症とうまくつきあう方法

出典:Managing Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia: 2010 edition
on CFIDS & FIBROMYALGIA Self-Help

第5章 疼痛のための戦略

疼痛は通常線維筋痛症(FM)の中枢症状ですが、しばしばCFS患者でも問題となります。FMの人たちは概して疼痛を全身の至るところに感じますが、一つの部位から始まって広がるか、あるいは一つの範囲から別の範囲に移動することもあります。ひりひり感や灼熱感、あるいは手・腕・足・脚や顔のしびれなど神経学的問題を伴うこともあります。CFSの人たちは疼痛を関節に感じますが、もっと普通に言えば全身疼痛(「トラックにひかれたような感じ」)として感じるかもしれません。

CFSやFMの疼痛はさまざまな原因があるので、ふつうはさまざまな戦略で疼痛を管理します。あなたにとって疼痛が問題であるならば以下の選択肢から疼痛管理プランを作ってください。

FMやCFSの人たちは多くの場合、薬で疼痛を治療します。常に効果がある薬は一つもなく、また体が鎮痛薬に慣れるにつれて効き目がなくなることがあるので、ふつうは試行を必要とします。たいてい患者は、正常の服用量のごくわずかな用量から始めます。

薬による鎮痛を求めるFMやCFSの患者は、ふつうは処方箋なしで買える医薬品、例えば、アスピリンなどの市販の鎮痛薬から始めます。他の人たちは Ultram (トラマドール)、場合によっては麻酔薬などの処方薬が助けになります。睡眠を改善する処方薬も疼痛に有益な効果があることがあります。しばしば Elavil (アミトリプチリン)、プロザック、パキシルといった抗鬱薬も効果があるか試されます。FDA(食品と医薬品を監理する米国の行政機関)は線維筋痛症の治療に三つの薬を認可しています。Lyrics (プレガバリン)、Cymbalta (デュロキセチン塩酸)、Savella (ミルナシプラン塩酸)です。

多くの線維筋痛症患者がしばしば首あるいは肩に、発痛点(筋肉あるいは筋膜の特定部位)の周囲に局在する疼痛疾患・筋筋膜性疼痛症候群(MPS)も経験します。MPS は投薬と発痛点への局所麻酔薬の注射で治療できます。

一部の患者は神経因性疼痛あるいは神経痛があり、通常、手と足に灼熱感あるいは電気ショックのような感覚があります。このタイプの疼痛はしばしば Neurontin などの抗痙攣薬で治療します。

運動、姿勢、動作

運動は、最もよく指示されるFMの治療法の一つで、CFSの治療にも役立ちます。定期的に運動プログラムを行えば、筋肉の凝りを和らげ、運動不足に陥ることを防ぎ、見通しを明るくすることができます。軽めのストレッチングのプログラムは、FMのみならずCFSにも効果があります。さらに、FMの人たちは多くの場合、ストレッチングするために頻繁に休憩を取ることにより凝りを和らげるのを助けられます。

特にFM患者は、どのように体の姿勢を保てばいいか、どのように体を動かせばいいかを試して疼痛を軽減することができます。多くのFM患者が、長時間同じ姿勢でいると筋肉の凝りが増え、疼痛がより激しくなると分かります。このため、定期的に体を動かせば疼痛を避けることができます。野菜を切り刻むなどの反復動作に費やす時間の長さを制限することも疼痛を避ける助けとなります。運動と動作の詳細については第16章を見てください。

ペーシング

疼痛が頻発する原因は、やり過ぎか、その人の制限を超えた活動レベルにあります。ペーシングが、安定とコントロールをもたらす方法をあなたに提供します。ペーシングは、例えば以下のようなさまざまな戦略を必要とします。

ペーシング戦略の詳細については第9章を見てください。

リラクセーション

疼痛は筋肉の緊張と不安を生むことがあり、筋肉の緊張も不安も疼痛の経験を強めます。筋肉の緊張が直接的に痛いのに対し、不安は、ストレスを増やして無力感を強めることによって間接的に疼痛の経験の一因となります。リラクセーションは筋肉の緊張とストレスにも効果があります。また、リラクセーションは疼痛から気を紛らしてくれます。一部の人たちは “The Patient’s Guide to CFS and FM” (「患者のためのCFS・FMガイド」)の第13章に記述したような正式なリラクセーション法や瞑想法を定期的に実行する必要があります。ほかにリラックスさせる活動として、運動、意識して呼吸すること、入浴やジャグジー、マッサージ、休憩時間、リラクセーションテープを聴くことなどがあります。

心配・フラストレーション・憂鬱に対処すること

疼痛の経験は心配やフラストレーション、憂鬱といった感情によって強められます。心配やフラストレーションは筋肉の緊張を引き起こして、疼痛をさらに激しくします。リラクセーション法を実行すれば筋肉の緊張を和らげて直接的に、またストレスを少なくして間接的に疼痛を軽減できます。人は憂鬱になると、痛みに耐える力が弱くなります。薬を時々使う自助戦略を立てれば憂鬱を管理することができます。感情の詳細については第19章を見てください。

疲労と睡眠不足の治療

疼痛、疲労、睡眠不足は緊密に結びついています。疲労は疼痛の経験を強めます。我々は疲れると、疼痛をより激しく経験します。したがって、疲労を少なくすることで疼痛を軽減できます。同様に、睡眠不足は疼痛を強めるので、睡眠を改善することで疼痛を抑えることができます。この三つの症状の中ではたいてい、睡眠不足に最初に対処します。

温熱と寒冷、マッサージ

温熱、寒冷、マッサージが一時的な疼痛緩和に利用されます。温熱は、筋肉の緊張や運動不足が原因で起こる疼痛を軽減するのに最もよく利用されます。温かさは血流を増やし、その結果ある程度筋肉の弛緩を生じさせ、疼痛と筋肉の凝りを軽減します。限局性の痛みに対しては懐炉あるいは温パックがよく使われます。全体的な痛みの緩和には多くの場合、温浴したり、ジャグジーへつかったり、電気マットレスの上に横たわったりします。

冷却療法は、炎症局所への血流を減らして炎症を抑えます。また、疼痛信号を送っている局所の感覚を麻痺(まひ)させるかもしれません。冷却ジェル、アイスパック、あるいは冷凍野菜の入った袋も使えます。温熱も寒冷も、一度に15分から20分を超えて治療に使わないほうがいいでしょう。

痛みがある部位をマッサージしても一時的に疼痛を緩和することができます。温熱のように、マッサージは血流を増やして筋肉の痙攣(けいれん)を和らげます。あなたは三つのタイプのマッサージを検討できます。自分の手でするセルフマッサージ、手動操作の機器を使うマッサージ、そして専門家によるマッサージです。もしあなたがマッサージ療法士にかかるなら、療法士にマッサージを慎重にするよう、そしてあなたの痛覚感受性を頻繁に確かめるよう頼んでください。

問題解決

疼痛を引き起こすか、あるいは強める状況を突き止め、その状況を変えるための措置を講じることによって疼痛をある程度抑えることができます。例えば、あなたはかつてのように家庭の雑用をこなすことができないかもしれません。問題解決を使うとき、あなたはさまざまな解決策をブレーンストーミングします。雑用を数日にわたってする、休憩時間を取り入れて1日でする、家族あるいは雇い人の手を借りるなどの解決策を出します。その次に、解決策がうまくいくか確かめるために実際に試してみて、評価して、もう一度試します。

あなたが職に就いていて、締め切りに追われて働くときに疼痛が増すと分かったら、問題解決は幾つかの形をとることができるでしょう。あなたは、筋肉をほぐすのに時間をかけるようになるかもしれません。自分の置かれた状況をさらに幅広く見て、あなたは再発する問題が作業過負荷であることを認め、勤務時間を減らしたり、職務を変えたり、休職したりすることを考えるかもしれません。仕事の選択肢の詳細については第15章を見てください。

愉快な考え・楽しい活動(気を紛らす)

愉快な考えや楽しい活動に没頭すれば、疼痛から気が紛れて、疼痛を軽減できます。心象は、楽しいシーンを思い浮かべるとき、できる限りたくさんの感覚を伴うので特に有効です。ビーチに行きたいのならば、光が水の上でちらちらするのを見て、肌に太陽の暖かさを感じ、波が砕ける音を聞き、ホットドッグのマスタードのにおいをかぎます。また、楽しみを与えてくれる活動をしても、疼痛から気が紛れます。例として、読書、映画鑑賞、入浴、音楽鑑賞、楽器演奏、自然の中で過ごすことなどがあります。

肯定的な心のつぶやき

考えは我々の気分に劇的な影響を及ぼし、その気分が今度は疼痛知覚に影響を及ぼすことがあります。これは悪循環になり得ます。症状が悪化すると「もう良くならない」「絶望的だ」といった否定的な考えが頭に浮かぶかもしれません。するとこのような考えは人を不安にし、悲しくさせ、怒らせ、どうしようもなく思わせて疼痛を強め、そしてもう一度否定的な考えを引き起こしてさらに筋肉の緊張を引き起こします。

しかしながら、第31章で説明する 3段階のプロセスを用いれば、習慣になっている自分の否定的な考えを認識して、それを変えるようになることが可能です。同様の治療は、 David Burns 著の Feeling Good (『いやな気分よ、さようなら』)や Martin Seligman 著の Learned Optimism (『オプティミストはなぜ成功するか』)などの本に載っています。あるいは、「認知療法」に長けているカウンセラーの手を借りるのもいいでしょう。

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第4章 睡眠を改善する  CFS & FMとうまくつきあう方法
目次
 第6章 疲労に立ち向かう

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