慢性疲労症候群(CFS)入門

慢性疲労症候群 & 線維筋痛症とうまくつきあう方法

出典:Managing Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia: 2010 edition
on CFIDS & FIBROMYALGIA Self-Help

第7章 認知的問題の治療

CFSの大部分の人たちと線維筋痛症(FM)の多くの人たちが認知的問題を経験し、しばしばこれを「頭にかかったもや」あるいは「線維筋痛のもや」といいます。この認知的問題には、忘れっぽい、戸惑う、集中力が低下する、はっきりと話せないなどを含みます。認知的問題にはさまざまな原因があります。例えば、以下のようなものがあります。

 
  無理のし過ぎ   活動し過ぎて、「エネルギーエンベロープの外」で生活している  
疲労 疲れていると頭の回転が鈍くなります
睡眠不足 回復睡眠を取らないことが頭の混乱した状態を引き起こします
刺激過度 知覚情報が多すぎるか、あるいは複数源から情報が来る
並行作業 同時に一つ以上の作業をしている
ストレス ストレスはふつう、CFSやFMの症状を増やします
薬の副作用に頭の混乱、ふらつきを含みます
 

第2部で述べた他の症状と同じように、頭にかかったもやは、戦略の組み合わせを使うことと、新しい習慣を身につけることによって最もよく対処されます。以下の戦略は、認知的問題と闘うことに焦点を合わせていますが、他の症状を管理する取り組みもまた頭にかかったもやを管理するのに役立ちます。例えば、頭にかかったもやと関連性がある認知的問題は、疲れている人や睡眠不足の人に見られるので、疲労を軽減することや回復睡眠を取ることは認知的問題を減らす助けとなるでしょう。

対処法

認知的問題は時々 Provigil(modafinil) などの興奮薬を使って治療されますが、これらの薬はプッシュ・アンド・クラッシュの循環を引き起こす可能性があります。以下に、もやを吹き払うための、薬を使わない13の戦略があります。

1. 休憩時間を取る。認知障害は活動のし過ぎで引き起こされます。我々のプログラムの一人が言います。「頭にかかったもやは、自分がエネルギーエンベロープの外にいること、そして休憩が必要なことを認識するのを助けてくれます」。一部の人にとって、頭にかかったもやを終わらせるのは、短い休息を取るだけで十分かもしれません。休息の効果の詳細は、記事 “Nurture Yourself with Pre-Emptive Rest” (「先制休息で回復する」)を見てください。

2. 過剰な刺激を避ける。雑音、光、あるいは複数源から同時に来る感覚入力(例えば、テレビをつけたまま話し合おうとすること)に敏感であるならば、話をしている最中はテレビを消して、静かな場所に移動し、気を散らすものを避けて感覚入力を制限してください。

3. 一度に一つのことをする(並行作業を避ける)。テレビを観ながら読書する、夕食を作りながら電話で話すなど、一度に複数のことをしようとすると、CFSやFMの多くの人たちが頭にかかったもやを経験します。解決策は、並行作業をせずに一つずつすることです。じゃまが入らぬよう、家族には「今夕食を作っています(電話に出ています、など)。でも、これが終わったら、すぐに手伝います」と言って、待つことを教えてください。

4. ストレスをコントロールする。ストレスは、頭にかかったもやを引き起こしたり、強めたりします。ストレスが多い状況を避けること、ストレスに対してリラックスする方法を覚えること、そしてアドレナリンの生成弱めるように自分を訓練することで頭にかかったもやを減らすことができます。詳細は第18章の「ストレスをコントロールする」、あるいは我々のウェブサイトの “Stress Management” (ストレス管理)にある記事を見てください。

5. 薬を点検する。頭の混乱は薬の副作用の可能性があります。もしかしたら自分がこれに該当するのではないかと思ったら、主治医に、薬の服用量の調整や薬の変更について相談してください。また、主治医と、注意力や集中力を高める薬の使用についても話し合ってください。

6. リストやリマインダーなどを使う。To Doリスト(用件リスト)に、その日の作業を書いてください。目立つところにPost-Itメモ(付箋紙)を貼って、自分の記憶を呼び覚ましてください。作り付けのリマインダー(思い出させるもの)となるように家の中と持ち物を整理してください。例えば、服を着るところに薬を置いておきます。そうすれば、朝起きたときと夜寝る準備をするときに、自然と薬が目に入り、忘れずに薬を服用するでしょう。

7. 整理して片付ける。自分の物理的環境をあまりにもひどいと思うならば、家の中を整理して、散らかった山を片付けてください。どのようなアイデアがあるかは、記事 “Illness and Housekeeping” (「病気と家事」)を見てください。

8. ルーチンを用いる。ルーチン(毎日同じやり方で同じことをする)を用いて予想どおりの生活を送り、頭の混乱を減らしてください。例えば、帰宅したらいつもカギをハンドバッグに入れます。朝頭にかかったもやが最も濃いならば、前夜に衣服を用意しておきます。

9. 一日で最も良い時間帯を選ぶ。いちばん頭が切れる時間に、集中力と知的明晰(めいせき)さを必要とする作業をしてください。一日で最も良い時間帯は人によって異なります。多くのCFS患者の最も良い時間帯は、午後の中頃から夕方までです。多くの線維筋痛症患者が、午前中が最も良い時間帯だと思います。あなたの最も良い時間帯を見付けてください。

10. 作業を延期するか切り替える、もしくは活動を中止する。明瞭に考えていないないときは、頭を使う仕事を延期するか、より簡単な作業に切り替えるか、あるいは休憩を取ってください。我々のプログラムの一人は言います。「疲れてもやがかかって考えられないときは、次の日まで先延ばしにして、代わりに臨時休息(いつもより長い休息)を取ります」

11. 体を使うことをする。身体活動でエネルギーを増やし、頭をすっきりさせることができます。身体活動には、運動のほか、笑う、歌う、深呼吸するなども含みます。一部の人は、栄養素の欠乏によって頭にかかったもやが引き起こされているかもしれません。その場合は、摂食によって、思考の不明瞭さをなくすことができます。

12. 心の中のつぶやきを変える。頭にかかったもやは、恐ろしくて恥ずかしいものです。多くの生徒たちが、知的明晰さを欠くときは、安心させるようにあるいは快活に、自身や、ときには他の人に話しかけるようになったと言います。やらなければならないことを考えると慌ててしまうならば、試しにのんびりしてみてください。心の中のつぶやきを変えること(認知再構成法)の詳細は第31章を見てください。

13. 対応をあらかじめ決めておく。前もって、対応を決めておいて、頭にかかったもやが人を困惑させるという事実に対処してください。あなたが戸惑ったときに自分を導びく規則を作ってください。そうすれば、いざというときに頼れるいつもの、習慣的になった対応が取れます。例えば、あなたは頭にかかったもやの対応を、横になるか、それほど負担の大きくない作業に切り替えると決るかもしれません。

多数の戦略を使う

この第2部で論じた他の症状と同じで、頭にかかったもやは、戦略の組み合わせを使うことと、新しい習慣を身につけることによっていちばんうまく対処されます。我々がグループの人たちに、認知的問題と闘うために何をするか記述するように頼むと、我々は10項目以上もあるリストを受け取ります。以下は、一人の女性がどのように認知的問題にうまく対処するかを記述したものです。

私が疲れ切っているときの頭にかかったもやは最悪です。それで、私はエネルギーエンベロープの中にとどまろうとします。私がこのことを学んでから、もやの発現は大幅に減少しました。

ここ数カ月の間、私は家の中をきちんと整理してきました。整然さはパニックともやを防ぐのを助けてくれます。それから、あまりにも疲れともやがひどすぎて考えられないときは、次の日まで先延ばしにして、代わりに臨時休息を取ります。

私は心の中のつぶやきも使います。「これもじきに過ぎていってしまう」あるいは「今これをしないでおけば、最悪のことは何も起きないない」と心の中でつぶやきます。これは、私がパニックモードに入るのと、完全に駄目になるのを阻止してくれます。

私がくたくたになる前の午前中は最も頭が切れるので、脳に負担がかかる活動すべてを午前に予定して、単純作業を午後に残しておきます。また、私は2、3時間おきにタンパク質を少しずつかじって食べます。

ページの先頭へ

第6章 疲労に立ち向かう  CFS & FMとうまくつきあう方法
目次
 第8章 エネルギーエンベロープを見付ける

inserted by FC2 system