慢性疲労症候群入門

慢性疲労症候群 & 線維筋痛症を管理する方法
出典:Managing Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia: 2010 edition
on ME/CFS & FIBROMYALGIA Self-Help

第8章 エネルギーエンベロープを見付ける

CFSを持つ人たちや線維筋痛症(FM)を持つ人たちの多くが push and crash(プッシュ・アンド・クラッシュ)の循環に陥ります。症状と、症状に対して取った行動が影響し合い、いらだたしいループから抜け出せなくなります(図参照)。症状が少ないと、できるだけたくさんのことをやろうと「無理して」(push)、そしてやり過ぎます。しかしやり過ぎたことで症状を強めて「疲れてすぐに寝入ります」(crash)。症状を強めてしまったのでその不快を減らすために休息しますが、休息することで疼痛・疲労などの症状が軽減するのでこれは通常うまくいっています。

ところがそのあと、休息している間に全く何もできなかったことにいらだち覚え、遅れを取り戻すために再び過活動に陥ります。今度はこの過活動が原因で症状を強くし、再びクラッシュします。

症状に応じた生活をしていたのでは、症状の悪化と長期の休息が交互に起きる目まぐるしい変化の繰り返しにやる気をそがれ、コントロールできないと思ってしまいます。このプッシュ・アンド・クラッシュの循環はCFSを持つ人たちにとって特にいらだたしいはずです。なぜならCFSを持つ人たちはほんの少し活動しただけで症状を悪くしてしまうことが多いからです。

プッシュ・アンド・クラッシュの循環

プッシュ・アンド・クラッシュの循環

プッシュ・アンド・クラッシュの循環に陥らない方法があります。ペーシングといいます。ペーシングは自分の制限を理解してその制限に適応することが必要ですが、ペーシングでより安定して予想できる生活を送ることができます。ペーシングを使えば、症状に応じた生活をするのではなく、計画どおりに生活することができ、疾患があなたをコントロールするのではなく、あなたが疾患をコントロールするという感覚を得ることができます。

この章では、目まぐるしい変化の繰り返しから抜け出すための二つの段階の一つ目、自分の制限を見付けることについて述べます。次章から、制限にうまく適応するための実際的な戦略を見ていきます。

制限を考えるための五つの方法

さまざまなイメージや比喩、アイデアを使うことで、制限とその制限内で生活することを考えることができます。以下に、CFSを持つ人たちやFMを持つ人たちが制限や制限内の生活を考えるの役立った五つのアイデアがあります。

エネルギーエンベロープ

自分の生活が、三つの要素で構成されていると想像してください。一つは「利用可能エネルギー」で、物事を成し遂げるためにあなたが持っているエネルギーです。これをエネルギーエンベロープといいます。エネルギーエンベロープは限られていて、休息や食物をとることで補充されます。CFSやFMによってあなたのエネルギーエンベロープは通常少なくとも半分に減ってしまっています。二つ目の要素は「消費エネルギー」で、あなたが身体的・精神的・感情的な労作で失うエネルギーです。これは、物事を成し遂げるためにあなたが持っている資源です。三つ目の要素はあなたの「症状」です。疲労、睡眠不足、疼痛、頭にかかったもやその他もろもろの症状です。

この考えでは、もしあなたが利用可能エネルギーよりエネルギーを消費したら、症状を強めることになります。これを「エネルギーエンベロープの外で生活する」といいます。これは一般に、プッシュ・アンド・クラッシュの循環を引き起こします。一方、ペーシングは、エネルギーエンベロープの中で生活する方法を学び、消費エネルギーを利用可能エネルギーの制限内に保ちます。五つのアイデアの中で、このアイデアが我々のお気に入りです

50パーセントの解決法

制限とその制限内で生活することを考える二つ目の方法は「50パーセントの解決法」といって、William Collinge が彼の著書 Recovering from chronic Fatigue Syndrome (「慢性疲労症候群から回復する」)で述べています。彼は、1日で成し遂げることができる活動の量を見積もって、それを二つに分け、量の少ないほうをするように提案します。自分の制限に挑戦するのではなく、自分の活動を安全なレベルに保ちます。消費されなかったエネルギーは、あなたが自分の体に贈る癒やしです。Collinge のアイデアは、我々が、成し遂げる量を過大に見積もる傾向にあることにうまく対処した独創的な方法です。また、この方法は自分の体を大切にできるという利点があります。

エネルギー銀行口座

制限のことを考える三つ目の方法は、自分のエネルギーを銀行口座に貯(た)めているお金であると想像します。CFSあるいはFMのせいで、あなたの口座にはわずかな残高しかありません。健康な人は、夜7時間から8時間休めば1日分の活動のエネルギーを蓄えられるのに対し、CFSを持つ人たちあるいはFMを持つ人たちは夜休んでもほんの数時間分の活動のエネルギーしか得られません。

利用可能なエネルギー量がわずかなため、あなたは手持ちのエネルギーよりも多くのエネルギーを使ってしまい、口座から借り越しがちになります。もし口座から借り越したら、しばしば高い手数料(強い症状)が発生します。一度借り越すと、すぐに休息というかたちで自分の口座にエネルギーを預け入れなければなりません。その代わり、時間を配分して消費するエネルギー総量を管理したら、癒(いや)しのためのエネルギーをいくらか取っておくことができます。 Vicki Lockwood は、記事 “My Energy Bank Account” (「私のエネルギー銀行口座」)の中で、彼女がどのようにして自分の生活でこの手法を使うか説明しています。

ボウルの中のビー玉

同じようなアイデアとして、ボウルの中のビー玉を使う手法があります。これは、自分の利用可能エネルギーをボウルの中のビー玉であると想像します。ビー玉一つひとつが少量のエネルギーを表します。毎朝自分のエネルギーレベルを見積もって、ボウルの中に適切な数のビー玉を入れます。(我々のプログラではこのアイデアを文字どおり取り入れてビー玉あるいはコインを使った者もいました。他の者は暗算します)

一つひとつ活動をするたび、1個以上のビー玉をボウルから取り出します。シャワーを浴びて1個、身支度で1個など。一部のプロジェクトは他の活動より多くのビー玉を取り出します。また、同じ作業でも調子の良い日より悪い日のほうが多くのビー玉を必要とするかもしれません。身体的な活動はボウルの中のビー玉を使い尽くしますが、精神的・感情的な活動も同様にビー玉を使い尽くします。例えば、自分が持っているビー玉の少なさにいらいらしているならば、そのいらいらでビー玉を幾つか使ってしまうことになります。ストレスや緊張、不安はすべて大口のビー玉消費者です。これらを減らすことができれば、他の活動に使うビー玉の供給を維持できるでしょう。

スプーン理論

制限のことを考え、制限の観念を他の人に分かってもらう別の方法は「スプーン理論」といいます。これは、狼瘡(ろうそう)の女性、Christine Miserandino が書いた記事のタイトルです(記事のPDFは こちら から利用できます[著者の許可なく出版・転載しないこと])。彼女は、かつて友人に、重い病気を抱えて生活することがどんなに大変であるかを説明したときのことを記述しています。彼女は利用可能なエネルギーをスプーンに見立てて説明しました。その日の自分のエネルギー配分を表す12本のスプーンを友人に渡します。そして友人が想像した作業をするたびに、Christine は1本以上のスプーンを取り去ります。友人は、ただ仕事に行く準備をするだけでスプーンの半分を使います。そして友人は、選択することと、違うものの考え方をするよう強いられます。Christine は自分の生活を健康な人の生活と対比します。「他の人たちは簡単に物事を行うことができますが、……私は計画を立てなければなりません。……人々はスプーン理論をいったん理解すると、私の状況をよく分かってくれるようです」

制限を見付ける

自分の制限を理解するためのさまざまなツールがあります。以下に三つ示します。もしあなたが制限についておおまかなイメージがあって、今のところその説明が必要ないのであれば、ペーシングで疾患をコントロールする戦略を記述した次の数章まで飛ばして読んでください。自分の制限を詳細に理解する方法を探しているのならば、続けて読んでください。

制限を記録する

「エンベロープログ(Envelope Log)」を使って、1日数分費やして自分の制限を1週間記録すれば、自分の現在の活動レベルが適切であるかどうか知ることができます。この簡単な用紙を使うことで、自分の制限と活動レベル、症状の関係を理解できます(下の例を見てください。この用紙の印刷可能なバージョンは、 “Envelope Log“ のページにあります)。

Envelope Log

  エネルギー
レベル
活動
レベル
症状
レベル
コメント
月曜日 午前 3 2 6 休息
午後 3 3 4  
夕方 4 2 3  
火曜日 午前 3 2 5 休息
午後 4 3 3  
夕方 4 2 3  
水曜日 午前 4 5 3 過活動
午後 5 7 7  
夕方 3 2 7  
Scale: 1=エネルギーなし、活動なし、症状なし
10=健康な人のエネルギー、高い活動レベル、
考えられる最悪の症状

この用紙を使うために、次の三つの要素に対して1から10までの尺度で自分自身を評価してください。

  a) 「エネルギーレベル」(利用可能エネルギー)
  b) 「活動レベル」(消費エネルギー)
  c) 「症状レベル」

この尺度は、1がそれぞれ、エネルギーなし、活動なし、症状なしを表し、10がそれぞれ、自分と同じ年齢の健康な人のエネルギー、高い活動レベル、考えられる最悪の症状を表します。

1日に1回あるいはもっと頻繁にこの用紙に書き込みます。1日3回これを使うことで、エネルギーレベルと症状レベルの変動を見ることができます。例えば、日がたつにつれて自分のエネルギーが回復して症状が減る、あるいはその逆であると分かるかもしれません。

上の見本では用紙に3日間記入しています。午前はこの人にとって活動しにくい時間帯です。月曜日と火曜日の「午前」の症状レベルの数値は中程度から重度を示しました。また、この見本では、プッシュ・アンド・クラッシュのパターンも見られます。最初の2日間、この人は活動レベルを利用可能エネルギーの制限内に保ち、時間の経過とともに症状レベルは下がっていきました。水曜日の午前に気分が良くなって、休息した日の遅れを取り戻そうとして「無理」をしました(活動レベル5)。過活動の結果はその日の午後に始まって、症状レベルの数値が重度になりました。

一つずつ活動に制限を設ける

活動の制限を見付ける別の方法に、活動ごとに制限を設ける方法があります。例えば、あなたは長い時間食事を作っていると疲れる、あるいは、お使い、家事、人と話をしたあとに疲れることを知っているかもしれません。しかし、いつ「やり過ぎ」になるかは知っていないかもしれません。この問題を解決する方法は、一つずつ活動に焦点を当て、その活動に費やす時間とそのときの症状を単に記録するだけです。

例えば、あなたは食事を作っている間に10分間キッチンに立っていられると考えているとします。この考えを試すには、食事を作っている間に開始時刻・終了時刻、そして食事を作っている最中とあとの自分の具合を書き留めます。もし具合が悪くなったとしたら、10分は長過ぎです。もし大丈夫だったら、時間を増やすことができるかもしれません。

具合が悪くなったのならば、どうしてそうなったのか理解することが重要です。もし脱力感を覚えていたり、頭のふらつきを感じていたりしたら、立っている時間の制限を超えてしまったのかもしれません。もしそうだとしたら、たくさんの状況に適用できる何か重要なことを学んだことになります。もし痛たいところがあったなら、反復運動の制限を超えてしまったか、あるいは不適切に道具を持っていたのかもしれません。

記録して制限を見付ける

自分の全般的な活動の制限を知るのに優れた戦略は、健康日記や健康日誌(ログ)をつけることです。記録を保持することで、自分が一日一日何をしていたのかを記録し、その結果を見ることができます。ログで活動レベルと症状の間の関連性を認識することができます。

文字で記録しておくといろいろと役立ちます。普通の日記でも、自分が安全にできる活動の時間や活動の種類が明らかになります。また、活動の影響が遅れているかどうか、そして数日あるいは1週間にまたがって累積的影響があるかどうか調べるのに役立ちます。例えば、記録を管理することにより、私は運動の影響がしばしば遅れて現れると知りました。私はいつもより長く歩いたとしても、運動の最中に症状は増えませんでしたが、その日の遅くあるいは次の日になってから症状が通常のレベルより高くなりました。

私は労作の影響が遅れた記録を見て、制限を超えたときの自分の体がシグナルを送るのを当てにできないということを教えられました。またこのことは、私がログを使って安全にどれくらい運動できるか制限を決める動機となり、私は運動の制限に達すると運動をやめて症状を回避することができました。

記録は、異なる活動のさまざまな影響を見つけ出すのに役立ちます。例えばCFSを持つ人たちやFMを持つ人たちの中には運動が困難な者もいれば、パソコンを使ってしばらくすると吐きけを催す者、また、ちょっとした距離車を運転したら具合が悪くなってしまう者もいます。あなたの制限は、ある領域が他の領域より厳しいかもしれません。また制限のパターンも、他のCFSを持つ人たちやFMを持つ人たちのものとは違うでしょう。

内省も身体的活動と同様に心的・感情的な出来事の影響に気づくのに役立ちます。CFSを持つ人たちや線維筋痛症を持つ人たちの多くの人たちが小切手帳の帳尻を合わせたり、読書したり、パソコンで作業したりするといった精神集中を必要とする活動で疲れやすいと分かります。心配や怒り、人とのもめごと、憂鬱などの感情的な出来事は特に疲れるはずです。

記録を保持することで、すぐには分からない関連性を知ることもできます。例えば一部のCFSを持つ人たちやFMを持つ人たちは、活動レベルと睡眠の間の驚くべき関係に気づきました。日中活動しすぎたら目がさえた(「興奮した」)状態になって寝入ることができないと分かります。これは、病気になる前に正しかったことと正反対のことです。本来は、たくさん活動すれば疲れて一晩ぐっすり休むはずです。このように直観では分からないことはしばしば、詳細な記録によってのみ明らかになります。

詳細な理解を深める

自分の制限一般のことを考え、それを「エネルギーエンベロープ」と呼ぶことが役立つ一方、実際には自分の生活の各部分に多くの「エンベロープ(制限)」があります。生活の各領域で自分の制限を定めることによって、疾患をさらにコントロールできます。こうした理解があって、症状を最小限に抑えるために、そして改善の機会を増やすために自分がしなくてはならないことについての完全な知識が得られます。また自分の最大の脆弱(ぜいじゃく)さのある領域を強調することもできるので、変更の優先順位をつけるのに役立ちます。例えば、質の良い睡眠を取ることが症状をコントロールする上で非常に重要である、あるいはストレスを最小限にすることが気分に劇的な効果をもたらすということを知るかもしれません。

あなたの制限は、同じ疾患を持つ他の人の制限とは異なるでしょう。また制限はおそらく、領域によってより厳しかったり、それほど厳しくなかったりするでしょう。例えば私が全体的に正常の約75%まで回復したとき、私の運動能力は病気になる前の約35%でした。また「クッション」、つまり我々が持つ誤差の範囲も領域によって異なるかもしれません。生活の領域によっては小さなミスでさえ重度で極端な症状の憎悪を引き起こすと分かる人たちもいます。例えばこの人たちはいつもより1時間夜遅くまで起きていたとしたら、翌日いつもより疲れてしまいます。

あなた独自の制限すべてを理解する一つの方法は「エネルギーエンベロープ(Energy Envelope)」用紙に記入することです。用紙にはこの章の残りの質問に答えてから記入します。この章の終わりにエネルギーエンベロープの見本があります。「エネルギーエンベロープ」用紙の印刷可能なコピーや他のすべての用紙とワークシートなどは “Logs, Forms & Worksheets” にあります。

「エネルギーエンベロープ」用紙は大きく分けて五つの項目があります。

疾患(Illness)

この項目は、主に自分の慢性疾患の重症度を書き込みます。CFSや線維筋痛症の症状パターンと症状の強さによりあなたの安全な活動レベルが決まります。最初に、自分の安全な活動レベルを知るために自身を第2章の「CFS/FM評価尺度」で評価してください。評価が現実的なものかどうかチェックするため、あなたをよく知っている人にもあなたを評価してもらって二つの点数を比較してください。CFSを持つ人たちやFMを持つ人たちが自身を評価すると他の人たちが評価するよりも平均して5点~10点高く評価することが分かっています。

また、この「疾患」の項目は他の疾患、さらに他の疾患とCFSや線維筋痛症の相互作用も書き込みます。疾患が多数あるとCFSや線維筋痛症を抱えて生活することが複雑になります。CFSや線維筋痛症に加えて現在続いている別の疾患があったら、それも用紙に記録してください。また短期間の疾患もCFSや線維筋痛症と影響し合うかもしれません。CFSの症状とFMの症状の一つの共通パターンは、症状が他の疾患によって強められることです。これは時々遅れて現われることがあります。そのため、急性疾患が徐々に治まってきてもCFSあるいは線維筋痛症の症状が突然悪化することがあります。

活動(Activity)

この項目は、さらに症状を示すことなく自分がどれだけ活動できるかを書き込みます。我々は身体活動、精神活動、社交活動の三つの領域の活動を調べます。

身体活動は、身体運動を伴うすべての活動を意味します。身体活動には家事、買い物、立っていること、車の運転、運動などがあります。この領域での自分の制限を明らかにするため、症状を強めずに1日に合計何時間の身体活動ができるか見積もってください。身体活動の影響は累積することがあるので、症状を悪化させずに1週間にわたって活動を続けられるのは1日何時間か考えてみてもいいです。また一日のどの時間帯に活動するのが良いか悪いかをメモすることもできます。中には「良い」時間帯で活動すれば安全だけれど、別の時間帯では症状を引き起こすと分かる人もいます。次に、家事、買い物、立っていること、車の運転、運動などのさまざまな具体的な身体活動をどれくらいできるかそれぞれの時間を見積もってください。

精神活動は、読書やパソコンでの作業、あるいは小切手帳の帳尻を合わせるといった集中力を必要とする活動を意味します。この領域で答えるべき質問は三つです。「精神活動に1日何時間費やせるか?」「1回の活動に何時間費やせるか?」「知的活動をするのに一日で一番良い時間帯は?」。例えば、パソコンに向かって15分か30分間何の問題もなく作業できるのに、それより長い時間作業したら症状が出ると分かる人たちがいます。この人たちは一日の中でより生産的な時間帯があるかもしれません。この考えがあなたにも当てはまるなら、1日1回長い活動をするのではなく1日2回以上の短い活動をすれば、あるいは一日のある特定の時間帯だけパソコンで作業をすれば頭にかかったもややほかの症状を引き起こさないようにできるかもしれません。

社交活動は、他人と交わって過ごす時間を書き込みます。二つのタイプの社交活動を考えるようにお勧めします。じかに自分が会うタイプと、その他(電話や電子メール)のタイプです。それぞれのタイプで考えてみるべき質問は、「自分が他人と1日何時間安全に過ごせるか?」「1週間では?」「その時間量は参加する特定の人たちや状況によって違うか?」(我慢すれば短時間だけ一緒にいられる人たちもいれば、一緒にいると落ち着く人たちもいるかもしれません)があります。またじかに自分が会う集まりでは、周りの環境によって違いがあるかどうか考えてみます。公共の場あるいは大きなグループでの集まりはストレスが多いかもしれませんが、個人的な集まりあるいは小さなグループでの集まりは大丈夫かもしれません。

睡眠と休息(Sleep and Rest)

この項目は、夜の睡眠と日中の休息に費やす時間、そしてその質を書き込みます。夜の睡眠で自分がどうしているか理解するために、次のような質問をしてください。「何時間の睡眠が必要か?」「寝るときと起きるときに最適な時刻は?」「睡眠の質は?」

ここでいう「日中の休息」は、静かな環境で目を閉じて横になることを意味します。この領域の質問として「何時間日中の休息が必要か?」「何回休息するか?」「休息でどれくらい疲れが取れるか?」があります。

感情と気分(Feelings & Moods)

この項目は、我々が抱く感情、特に、心配、憂鬱、怒り、悲嘆を書き込みます。この領域の質問として「今の生活で抱く切実な感情は何か、その感情の強さはどれくらいか?」があります。また、この項目は感情的になった出来事や人々に対する感受性も書き込みます。状況によっては健康だったときよりも強い反応を引き起こすかもしれません。そしてこの強い反応は症状を強めるかもしれません。なぜなら感情的になった出来事はアドレナリンの放出を引き起こし、しばしば症状を悪化させるからです。

ストレスと身体的な過敏さ(Stressors)

このカテゴリーは生活する上でのストレスの原因を書き込みます。重要なのは三つです。経済状態、人間関係、身体的な過敏さです。

CFSを持つ人たちや線維筋痛症を持つ人たちの経済状態は大いにさまざまです。経済状態が病気になる前とほとんど同じであると分かる人たちもいます。この人たちにとってお金はストレッサーではないかもしれません。しかしながら、そうでない人たちは経済的な圧迫が非常に大きいどころか、圧倒的でさえあります。中にはわずかな収入で、一人で暮らしている人もいるかもしれません。障害保険の支払いを受け取るためには、長くてストレスの多い厳しい試練を乗り越えなくてはならないかもしれません。支払いの受け取りに成功した人たちはたいてい、いつか障害者資格が奪われるのではないかと心配します。他の人たちは、体が休息を求めているときも働くことを強いられている気がします。

慢性疾患によって、あなたと他の人たちの間に新たな責任、また新たな緊張とストレスも生まれ人間関係が変わります。家族や友人はあなたのことを理解するかもしれないし、理解しないかもしれません。人間関係は大きな支援の源、あるいはストレスの原因、もしくはその両方になり得ます。

身体的な過敏さとしては食物などの物質に対する過敏症、騒音や光に対する脆弱さ、天候や季節に対する敏感さがあります。この領域の質問は次の通りです。「食物アレルギーは?」「化学物質過敏は?」「感覚に負担をかけ過ぎること(同時に幾つかの源からやって来る騒音、光あるいは刺激など)に敏感か?」(例えば、バックグラウンドで音楽を流して会話をしようとする)「季節あるいは天候の変化の影響を受けるか?」

要約、脆弱さ、目標(Summary, Vulnerabilities and Goals)

「エネルギーエンベロープ」用紙の最後は三つの項目から成ります。あなたが学んだことや将来の計画をまとめるのに役立ちます。「要約(Summary)」というタイトルがついた1番目の項目は、あなたが現在どうしているかを簡潔にまとめます。

2番目の項目の「脆弱さ(Vulnerabilities)」は、症状を悪化させる要因とぶり返しを引き起こす要因に焦点を当てるようにしてください。我々がクラスでこの課題をやると、やり過ぎをはじめ、睡眠不足、経済的な問題、ストレスの多い人間関係、将来への不安、食物アレルギーと化学物質アレルギー、感覚に負担をかけ過ぎること、他の人たちと過ごす時間、家族に対する責任、旅行、そして他の疾患といった回答を得ることが多いです。

3番目の項目の「目標(Goals)」は、あなたが近いうちに取り組むつもりの領域をはっきりさせるための欄です。

参考文献
Arthritis Foundation. Your Personal Guide to Living Well with Fibromyalgia. Marietta, Ca: Longstreet Press, 1997. Explains the bowl of marbles.
King, Caroline, Leonard Jason, and others. “Think Inside the Envelope,” CFIDS Chronicle 10 (Fall, 1997): 10-14.

Energy Envelope

Illness  
   CFS/FM Rating 25
   Other Chronic IBS、腰痛
   Acute 余病がFMの症状をもっと悪くする
Activity  
   Hours/Day 2~4時間
   Good/Bad Times 良い:午後遅くと夕方
   Housework 1回15分
   Shopping 食料雑貨店では「ゴルフカート」を使う
   Standinmg 15分後に脱力感とめまい
   Driving いつも20分
   Exercise しない
   Mental per day 約1時間
   Mental per session 15~20分後に頭にかかったもや
   Social: in person  静かな環境で、1~2人ならOK
   Social: phone 横になれば20~30分はOK
Sleep & Rest  
   Nighttime Sleep 9時間、でも熟睡していない
   Daytime Rests 2時間の昼寝を2回
Feeling & Moods  
   Emotions 将来が不安。少ししかできないのでイライラする
   Sensitivity 簡単にひどく腹を立てる
Stressors  
   Finaces 経済的に苦しい。障害給付金では足りない
   People 夫は責任が増えたことを恨んでいる。娘は動揺している。両親は理解しない
   Sensitivities: Food/
   Noise/Weather
騒々しい場所、天候の変化
Summary 中くらいから激しい疼痛、ほとんど疲れている。1日数時間だけ活動する
Vulnerabilities 最大の問題は睡眠不足とやり過ぎ
Goals 医者と睡眠の問題を話し合う。人間関係について夫に相談する

 

更新日:2017年12月3日

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